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鼻翼縮小は奥が深い!?

名古屋院 李 院長 プロフィールはこちら

技術的には、鼻翼の一部を切除して縫合するという単純な作業で、それほど難しい事はありません。鼻翼の付け根を囲むようにできる傷も、丁寧な縫合を心掛ければほとんど目立ちません。

では何が難しいのでしょうか。今回はこれについてお話ししてみたいと思います。

鼻翼は非常に複雑な立体構造をしています

鼻翼は非常に複雑な立体構造をしています

一概に大きいと言ってもその形態は千差万別で、小鼻が上の方に丸く膨らんでいる方もいれば、すそ野が横に大きく広がって幅広に見える場合もあるし、下の方に重くかぶさるような形の方もいます。

それに対し、鼻翼縮小という手術で切除できるのは鼻翼基部、つまり鼻翼が顔につながる付け根部分だけです。つまり、従来の鼻翼縮小では小鼻の複雑な形とバリエーションに対応できるだけの手段に乏しいという事です。

鼻翼縮小という治療を一度されて形に満足されていない方が、本当は鼻翼縮小だけで綺麗になる小鼻ではないのに再手術で切除しすぎて不自然になってしまうというケースがよくあるからです。もちろん本当に足りていない場合もありますし、特に切らずに糸で幅寄せするタイプの鼻翼縮小は効果が戻りやすいので充分再手術の適応になります。いずれにせよ再手術の結果どんな形になるのかは、術前にきっちり確認した上で手術にのぞむべきです。

実は小鼻に対する治療は鼻翼縮小だけではありません。鼻翼の下縁つまり鼻の穴の形(カーブ)を上げる治療もあれば、逆に下げる治療もあります。小鼻が下に重たくかぶさって見える方は、鼻翼を小さくするより鼻柱という鼻の真ん中を下に引っ張るように下げる方が小鼻をすっきり見せることができます。これらを複合的に組み合わせて行う場合もよくあります。

こういった治療は行っているクリニックも少なくマイナーなので、単純に小鼻を小さくしたいと思っているだけの方にこういったお話しをすると、
「あそこのクリニックに行ったら希望したのと違う治療を勧められた。悪徳に違いない。」
なんて誤解されそうですが、何度も言うように鼻翼縮小は戻せない手術なのでご理解いただけるまで、いつも必死で説明しています。

鼻翼縮小という手術について

鼻翼縮小の目的を大きく分けると、小鼻自体を小さくする事と鼻の幅を狭くする事の二つになります。それに対し、一般的な鼻翼縮小では鼻翼自体を切除する治療と鼻翼を糸で幅寄せする治療が行われます。

鼻翼縮小という手術について

鼻翼を糸で幅寄せすると鼻翼と鼻翼の間の距離が縮まった分、その間の組織がつかえて盛り上がります。

つまり、鼻下の真ん中(口元)が持ち上がってしまいます。これは自分の鼻を両サイドから真ん中に向かって押してみると簡単に確認できます。

特に元々アップノーズの方などがこれをやりすぎると、鼻が持ち上がって余計にアップノーズに見えてしまいます。ですから、糸で幅寄せするという治療は控えめにするのが良いと思います。

ただし糸で大きく寄せても、幸か不幸か大抵の場合押し戻す圧力に組織が負けてある程度戻ってきます。

切らずに糸で幅寄せするだけの治療がありますが、口元が盛り上がってしまうか、そうでなければほとんど変化が無いというあまり意味の無い治療と言っていいのかもしれません。

では、鼻翼を切除すれば鼻の幅は狭くなるのでしょうか?これは、鼻翼のタイプによって異なります。

鼻翼のタイプ

鼻を下から見ると、小鼻の付け根から外に向かって丸くふくらんだタイプと、小鼻の付け根の幅が一番広い、つまりすそ野が広がったタイプに分かれます。

丸くふくらんだタイプ

丸くふくらんだタイプ

丸ふくらみタイプはふくらみの頂点部分で一番鼻の幅が広くなります。

丸くふくらんだタイプ

丸膨らみ型の方で鼻翼を切除するとふくらみが無くなり、その分だけ鼻の幅が狭くなります。

すそ野が広がったタイプ

すそ野が広がったタイプ

すそ野広がり型では、小鼻の付け根部分の幅が最も広くなります。

すそ野が広がったタイプ

すそ野広がり型では、元々一番幅が広い小鼻の付け根に切除した断端がつながるため、少なくとも一番広い部分の鼻の幅は変わりません。

もちろんこういったタイプでも正面から見た小鼻の形は十分変化するので、「鼻の最大幅が変わらない=手術の適応が無い」という訳ではありませんが、少なくとも鼻の幅を狭くする事が目的の方には意味がありません。

このタイプでも、糸で幅寄せする事によって幅を狭くすることは可能ですが、前回お話ししたように糸での幅寄せをしすぎると口元が盛り上がってしまいます。

ではどうすれば盛り上がらずに幅寄せすることは出来るでしょうか?

「すそ野広がり型」のタイプはどうしたらいいか

このタイプで小鼻の最大幅を狭くするためには、両側の小鼻を寄せるという工程がどうしても必要になりますが、これを行うと両側の鼻翼間の組織がつかえて盛り上がってしまいます。

つかえて緊張した組織は元に戻ろうとしますから、これが幅寄せしている糸に負担をかけ、せっかく幅寄せで狭くなった小鼻も徐々に元の状態に戻ってきてしまいます。糸の幅寄せだけを行っているクリニックでは、「最初のうち盛り上がって見えてもいずれ戻ってきます。」と説明されるようですが、これはイコール幅寄せの効果も戻ってしまっているという事です(少し考えれば分かりますよね)。逆に運よく(?)戻らなかった型は、ずっと鼻下が盛り上がったままになってしまいます。

一般的な「鼻翼内側切除」

この問題を対処するためには鼻翼そのものではなく、鼻翼よりも内側の組織を切除します。

一般的な「鼻翼内側切除」では鼻翼の内側部分を切除しますが、この手術ではそのさらに内側、つまり鼻腔底と言われる鼻の穴の底に当たる部分を切除することになります。

自然な幅寄せが可能

これは、「幅寄せすることでつかえてしまう組織をあらかじめ切除してしまいましょう」という事です。

こうすることによって、すそ野広がり型の小鼻も無理なく自然な幅寄せが可能となります。

糸での幅寄せ

逆に、糸で幅寄せしなくても鼻腔底の組織を切除するだけで鼻翼の幅が狭くなりそうですが、切除した事によってどうしても外側に引っ張られる力が働きますので、これに対抗するため必ず糸での幅寄せは行います。

最近は糸での幅寄せの代わりに、切除する左右の組織の一部(真皮と筋肉部分)を短冊状にしたもの(真皮弁)を皮下で互いに縫い合わせるようにしています。