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理想の豊胸術ってどんなもの? パート3

名古屋院 李 院長 プロフィールはこちら

人工乳腺のメリットとデメリット

前回、前々回とヒアルロン酸や脂肪注入による豊胸術についてお話してきましたが、今回はいよいよ人工乳腺(バック)による豊胸術についてお話していきたいと思います。
いよいよと言ったのは、少なくとも現在の豊胸術の主流の手術であることは間違いないからです。
最近は脂肪注入を希望される方も多いですが、それでも世界的に見れば、人工乳腺による豊胸が圧倒的なシェアを占めています。
人工乳腺についてはバックの種類(中身やシェルのタイプ、形状)、術式の違いとそれぞれの術式の適応など、お話しすることは山ほどありますが、まずはヒアルロン酸や脂肪注入と比較してどうかということに絞ってお話ししてみたいと思います。
前回までと同様、この手術のメリット、デメリットを確認することで、他の方法との違いを考えてみましょう。
ちなみに人工乳腺のことを、美容外科や形成外科では「バック」と言ったり「インプラント」と呼んだりしています。
この後の内容にも、この両方の表現が出てきますが、あくまで全て人工乳腺のことなのでご了承下さい。
ではまず、メリットです。

メリット

1.サイズアップ
もちろんどこまでも大きくできるわけではなく、元の体型やバストサイズによる限界もありますが、ほとんどの方で2サイズ以上のバストアップができます。
前回の脂肪注入の回でお話しさせていただきましたが、脂肪注入で一度に2サイズを超えるサイズアップは非常に難しく、大きなサイズアップを望まれる方は何度か手術を繰り返す必要があります。
ヒアルロン酸も、一度にたくさん入れ過ぎると、バスト以外の部位に広がってしまったりします。
ましてや、サイズを維持するためには繰り返し注入する必要があり、ヒアルロン酸で大きなサイズアップをすることは、金銭的にもかなりハードルが高くなります。

2.サイズの維持
ヒアルロン酸は1年前後で吸収されてしまいますし、脂肪も痩せてしまったりすると、サイズダウンしてしまいます。
それに比べ、人工乳腺であれば、入れたバックのボリュームがそのまま残ります。
以前よく使用されていた生理食塩水バックは、時間とともに水が抜けて小さくなってしまうことがありましたが、今のコヒーシブシリコンバックであればサイズが変わることはありません。
また、バックの耐久性には諸説ありますが、現代のシリコンバックであれば数十年の耐久性があると思います。
ちなみに、人工乳腺による乳房再建のガイドラインでは、「インプラントは半永久的なものではない」という記載があります。
またメーカーが再建患者さん用に作っているパンフレットにも「10~20年後の入れ替えを視野に入れておくことが望ましい」とされています。
ただしこれは、10年から20年後に必ず入れ替えなければいけないということではなく、あくまで入れ替えなければならなくなる可能性があるということです。
ですから「視野に入れて」なんていうあいまいな表現になっているのだと思います。
少なくとも、バックに異常がないかを定期的にチェックするべきではあると思いますが、検査で何も異常がなければ、あえて入れ替る必要はないと思います。
もし、すでにバックが入っている方で10年以上経過している方は、念のためエコーなどでバックの状態をチェックするのが望ましいと思います。
お近くの乳腺外科にご相談いただければ、美容目的で豊胸された方でも診察していただけるはずです。
もし、断られてしまったり、一般病院での検査に抵抗がある方は一度ご相談ください。
当院では、他のクリニックでご手術された方でも検査可能です。

3.乳がん検診に影響しない
これは、「逆じゃないの」と思われる方も多いと思いますが、注入するものの一部が乳腺内に入る可能性のあるヒアルロン酸や脂肪と比べ、人工乳腺は乳腺より下の層に入りますので、検査しにくくなることは原則ありません。
以前の生理食塩水バックであれば、マンモグラフィーでバストを挟み込むことによって、バックが破裂する可能性がありましたが、現代のコヒーシブシリコンバックであれば、外圧に対する耐久性は非常に高く、マンモグラフィー程度で損傷することはまずありません。
もちろん超音波検査なども全く問題なく行えます。
豊胸術を受けた方の中には、検査を断られるのを恐れて、もしくは、検査できないとあきらめて、乳がん検診を受けられない方がいらっしゃいますが、これほどばからしいことはありません。
最近は、コヒーシブシリコンバックによる乳房再建術が保険適応になったこともあり、しっかりした乳腺外科の施設であれば、人工乳腺を理由に乳がん検診を断られることはありません。
ただし、一般的な集団検診のレベルだと、人工乳腺が入っているというだけで、再検査とされてしまい、二度手間になる可能性があるので、最初から乳腺外科を受診されることをお勧めします。
では、デメリットはどうでしょうか。

デメリット

1.傷ができる。
脂肪注入の場合でも、脂肪吸引のために小さな傷はできますが、バックを挿入する際は、数センチの切開をしなければなりません。
海外では、多くの場合乳房の下縁もしくは乳輪周囲を切開しますが、日本では脇を切開する術式が好まれます。
当たり前ですが、傷が目立たないというのがその理由です。
手術は多少面倒になるのですが、やはり傷の目立ち方を考えれば脇からアプローチするメリットは大きいと思います。
いまだに学会などで乳房下縁じゃないと出血などのリスクに対応できないから危ないとおっしゃる先生もいますが、丁寧な操作を行えば脇からのアプローチでも手術は行えます。
実際、この手術で術後に貧血をおこすような出血はまずありませんし、良い層を丁寧に剥離していけばほとんど出血しません。
話はそれてしまいましたが、いずれにせよ傷ができるのはこの手術のデメリットの一つであると思います。
ただし、ほとんどの場合、脇の傷は元々あるしわの一部のようになってしまいますし、もし術後の経過で思いのほか目立つ傷になってしまった場合も、修正することで目立たなくできます。

2.異物感を感じる
人工乳腺は簡単に言えば袋にシリコンを詰めたものです。
袋状のものなので、バストを触ったり動かした際に一つの塊としてしか動きません。ましてや中身は均一な素材です。
実際の乳房は、脂肪や乳腺の集合体で、決して均一ではありません。
それに比べ人工乳腺は均一な塊なので、それが異物感につながることがあります。
また、稀ではありますが、人工乳腺が時々冷たく感じるとおっしゃられる方がいます。
これはおそらくですが、人工乳腺の中には血流が無いので、運動などで急激な体温の上昇がある際に、バックの温度が周囲に比べて一時的に低くなるためと考えられます。
こういったことも異物感を感じる要因になると思います。

3.触ると分かる
先ほども述べたように、人工乳腺は袋に入ったシリコンの塊で、中には神経も血管も通っていないので、当然自分で触ればそこにあるのがわかります。
では、他人が触ったらどうでしょうか?
これは、単純にこうと言えるものではありません。
たとえば、こういった手術を仕事としている我々が触診すれば、おそらくどんなに仕上がりがいい人工乳腺でも入っていることはわかります。
では、それ以外の方ではどうでしょうか?
これは、手術の仕上がりで大きく異なります。
この仕上がりには、もちろん手術の出来不出来が大きく作用しますが、それ以外にも、手術を受けた方の体型や元のバストの大きさ、皮下脂肪の厚み、バックのサイズなど様々な要素が影響します。
例えば、皮下脂肪が厚く、乳腺組織もある程度ある方は、ちょっと触っただけでは我々でも迷うくらい、自然な感触になることが多いのですが、逆に、痩せていてバストの上に肋骨が浮き出ているような方であれば、どうしてもバックをダイレクトに触れるので、わかりやすくなります。

4.見た目や動きが本物と異なる
これも、すべての方がそうなるというわけではなく、特に痩せていて皮下脂肪や乳腺組織が少ない方が、体形に合わない大きなバックを入れたケースほど、本物との違いが鮮明に出てしまいます。
特に極端に痩せている方は、バックの辺縁が浮き出やすく、いかにも「入っている」感じが強くなります。
最近はこういった方には、バック挿入後にバックの周囲に脂肪やヒアルロン酸を注入することで、辺縁を目立ちにくくさせる工夫をしたりもしています。
こういった治療は、最初から脂肪やヒアルロンだけでバストアップするのに比べ、サイズアップが容易ということもあり、少しずつ増えてきています。
動きや感触も、実際のバストとは多少異なります。
先ほども述べた通り、人工乳腺は本物のバストと違い、均一なシリコンが入った袋状の物体です。
これが多少本物のバストと異なる動きに影響します。
具体的には、仰向けになったとき、本物のバストではバスト自体がぺしゃんとつぶれるような形になりながら、同時に外に流れます。
人工乳腺でも術後、皮膚にある程度の余裕が出来てくると、外に流れるような動きは出てきますが、本物のようなつぶれる変化にはなりません。
あくまで上方向のボリュームをキープしながら動きます。
本物のバストでも若くて脂肪の少ない乳腺主体のバストであれば、あまりつぶれるような動きにはならないので、それほど大きな差には感じないかもしれませんが、脂肪の多い柔らかいバストと比べるとかなり違うと思います。

最近、日本で使用頻度が急激に増加しているモティーバという人工乳腺は、従来のコヒーシブシリコンに比べ、バックのシェルの伸縮性が高く、中身のシリコンも柔らかいので、重力によって形が変化しやすくできています。
ですから、従来のものに比べるとかなり自然な動きに近づいてきていると思います。
実際このバックはコヒーシブシリコンバックに多く見られるアナトミカル型(涙型)ではなく、ラウンド型(お椀型)をしていますが、起き上がると重力の影響で下方向にバックのボリュームが偏り、「アナトミカル型に近い形状」になります。
こういったバックがさらに改良されると、もしかしたらさらに本物に近いバストが作れるようになるかもしれませんね。

柔らかいシリコンバック