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鼻中隔延長って結局何なの?Part1

名古屋院 李 院長 プロフィールはこちら

鼻中隔延長と鼻尖形成ってどう違うんですか?

クリニックでカウンセリングをしているとよく受ける質問の一つです。
今でこそ、一般的になった鼻中隔延長術ですが、ほんの10数年前までは、この手術はとてもマイナーな術式でした。
この手術を行っているクリニックも数えるほどしかなく、美容外科医の中にさえこの手術を知らない先生もたくさんいらっしゃいました。
実際、その当時の美容外科の教本の鼻の項目の中にも「鼻中隔延長」という言葉はおろか、それに近い手術の記載もありませんでした。
それというのも、この手術は今から20年ほど前に、当院の理事長である福田慶三先生が考案され、その後世界中に広まったものだからです。
当初は日本より韓国で一気に広まり、その後、日本のクリニックにも次第に広まってきました。
今では、鼻の手術を検討している方であれば、調べていくうちに必ずどこかでこの手術名を目にするほど、メジャーな手術になりました。
でも、それとともに、鼻中隔延長という手術名こそ同じでも、福田先生が考案された本来の術式と程遠い内容の手術や、かなりいい加減な手術も増えてきました。
特に、本来であれば鼻尖形成の範疇に入る手術を鼻中隔延長と称して行っているケースが目立ちます。
ですから、最初のコメントのように混乱する方が多くいらっしゃるんだと思います。
今回は、改めて鼻中隔延長とは何なのかを、できる限りわかりやすく説明してみたいと思います。

鼻中隔延長とはという話をする上で、鼻中隔という部分の構造をあらかじめ説明しておいたほうが良いと思うので、まず解剖学的な話をしたいと思います。

鼻中隔とは、簡単に言えば、鼻腔の内部を左右に仕切る壁です。奥の部分は鋤骨(じょこつ)、篩骨垂直板(しこつすいちょくばん)と呼ばれる骨でできていて、前方は鼻中隔軟骨と呼ばれる軟骨でできています。これが粘膜で覆われ、鼻孔から咽喉の奥まで伸びています。

左右の鼻の穴に指を入れて真ん中を触ると、動きはあるけれどもコリコリとしたやや硬い組織を粘膜越しに触れますが、これが鼻中隔軟骨です。
この軟骨は鼻の真ん中で鼻先の組織を支える柱のような役割を担っています。
鼻中隔延長とは、この鼻中隔軟骨に別の軟骨をつぎ足すことで、この柱を前方や下方に伸ばし、鼻尖全体の形を整える治療です。

それに対し、よく比較される鼻尖形成は、同じ軟骨を移植する治療でも、鼻中隔軟骨に連続せず、単に鼻先に軟骨を乗せてその形状を整える手術です。

これまでの話で、術式自体の違いは分かっていただけたと思うのですが、実際、それによってどういった差が出るのかを説明しようと思います。
これについては、言葉だけではその差が説明しづらいので、イメージしやすくなるように、たとえ話をしてみたいと思います。

以前に、横浜でマンションの建築ミスで、建物が傾いて問題になった事件がありましたね。
あの原因は、建物を支える地下の基礎の柱が十数メートルの深さにある地中の硬い岩盤に届いていなかったことだったと思います。
ここで考えてみてもらいたいのですが、普通の2階建てくらいの建物であれば、そんな深くまで基礎を作る必要はありませんし、簡単なプレハブ程度であれば基礎自体必要ありません。


(出典:家を高く売る.com)

今回は地上10階建て以上の大きなマンションであったため、その非常に重い躯体を支えるために基礎が強固な岩盤に届く必要があったわけです。

ここまでで、「何の関係があるの?」と思っている方も多いと思うのですが、もうちょっと我慢して聞いてください。
鼻先を伸ばすということは、それに対し、必ず押し返そうとする力が働きます。
この力は、皮膚の厚みや弾力によっても違ってきますが、基本的には伸ばす程度に比例して大きくなります。
軟骨を鼻先に乗せるだけの手術は、まったく基礎工事を行っていない地面に家を建てるようなものです。
あまり高さを欲張ってぶ厚い軟骨を移植すると、最初のうちは高さが出ていても、だんだん沈み込んできてそのうち最初よりかなり低くなってしまいます。
もちろん、鼻先を押し出す力も弱いので、10階建てのビルのような鼻先の延長は最初から不可能で、せいぜい平屋のプレハブ住宅を作るのが限界です。

それに対し、鼻中隔延長はいわば、地下にある丈夫な岩盤に基礎を打つような手術です。
思い出していただきたいのですが、鼻中隔軟骨はその奥にある骨につながっているので、けっして沈み込むことのない強固な岩盤のような組織です。
鼻中隔延長では、この岩盤の役割をする鼻中隔軟骨につなげる形で軟骨を移植するので、ちょっとやそっとの力では押し返されない丈夫な基礎が出来上がります。
ですから、単なる鼻尖形成では考えられないような、大きな変化が可能になります。
つまり、10階建てのビルの建築が可能になります。

この中間にあたるような術式もあります。
具体的に例を挙げると、例えば、鼻尖縮小という両側の大鼻翼軟骨を真ん中に寄せて鼻先を細くする手術がありますが、こうして寄せた鼻翼軟骨の上に耳介軟骨を乗せると、鼻翼軟骨で支えられることで、単に鼻先に耳介軟骨を乗せる時より沈み込みによる後戻りが生じにくくなるので、単純な鼻尖形成より大きな変化が可能になります。
いわば、大きなビルではないけれども三階建ての二世帯住宅なら大丈夫といった術式です。

いずれにせよ、鼻先を大きく変化させるためには、鼻中隔延長が最適であるということは間違いありません。
逆に言えば、希望する鼻がわずかな変化だけで出来るものであれば、鼻中隔延長までは必要なく、鼻尖形成と鼻尖縮小の組み合わせや、場合によっては鼻尖形成だけでも充分だということもあります。
ただし、厳密にいえば、同程度の変化を作る場合でも、鼻尖形成と鼻中隔延長の間には、決定的な違いがあります。
次回は、これについてお話をしたいと思います。