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鼻中隔延長後の修正

鼻中隔延長の術後、術前にイメージした仕上がり具合の違い、また患者さんからの要望での修正、そして修正をする際のベストなタイミング時期を美容外科医の私、福田が解説します。

1. CASE-1 術者の判断ミスにより、鼻先が上を向きすぎたため、直ちに修正

鼻の土台となっている顔面の中央が陥没していて、鼻が顔にめり込んだ印象があります。
鼻だけを観察すると、鼻先が低く、鼻先が垂れて見えます。
そのため、鼻は全体として長い印象があります。

鼻先だけでなく、鼻全体を前方に向かって高くすることで、顔面中央が陥没した印象を改善します。
そこで、眉間・隆鼻プロテーゼ+鼻中隔延長を行いました。

手術から1週間後にギプスを外しました。
鼻が上に向きすぎていて、正面から見た時に鼻の穴が目立ちます。

術者としては、手術中に鼻先の向きを好ましい方向に延ばしたつもりでした。
しかし、実際には思ったより上向きになっていたのに、それに気がつかなかった術者の判断ミスです。
ただちに、鼻先の延長方向を少し下向きに変える修正手術を行うことにしました。

1週間前に切開した傷を再度開きます。

移植した鼻中隔軟骨と鼻翼軟骨を固定した糸を外します。

鼻翼軟骨を鼻中隔軟骨からはがして移動できるようにします。

鼻翼軟骨を下に向かって移動し、再度固定します。

鼻柱の傷は段差もなく、きれいに治っています。

2. CASE-2 患者さんの希望に添って鼻先を下に延ばした術後、笑った時の鼻先が長く感じたため短く修正

鼻先が丸いのが嫌なので、鼻先を下に向けて延ばし、細くしてとがらせて欲しいという希望でした。

鼻尖を前方・下方に延長します。
鼻柱も下に2ミリほど下げて鼻柱と鼻翼の位置関係(ACR)を下に向かったV字型にします。

オープン法で切開しました。

鼻中隔軟骨を採取しました。

鼻中隔軟骨を使って延長術を行い、鼻尖と鼻柱を下に移動しました。
鼻尖をさらに尖らせるために鼻先に耳の軟骨を1枚移植しました。

鼻尖部の皮下脂肪を切り取りました。

鼻先を細くするために、左右の鼻先の軟骨を真ん中に引き寄せるように縫い合わせました。

術前の計画通りに鼻先は下に伸び、細くなったのですが、

笑った時に魔女のように鼻先がとがって見えるのが気になるので、直して欲しいと希望されました。
手術からすでに1ヶ月が経過していました。この時期は軟骨と周りの肉との癒着がつよくて修正手術がやりにくい時期です。
そのため、4ヶ月以上経過を待って傷口の炎症が落ち着いてから修正手術を予定しました。

前回手術の傷痕を切開しました。

鼻先に移植した耳の軟骨を取り除きました。
鼻尖の軟骨と移植した鼻中隔軟骨の間を剥離して、鼻中隔軟骨を露出させました。

鼻中隔軟骨の先端を2ミリ切除してから、

鼻尖の軟骨を縫いつけました。

修正手術後鼻先が2ミリ短くなり、笑っても魔女のように鼻先が尖ることはなくなりました。

3. CASE-3 鼻先の延長術の後、鼻先をさらに高く修正

L型のシリコンプロテーゼによる隆鼻術を受けてから、鼻先が上を向いたそうです。
あゆのような矢印鼻になりたいと希望されていました。

鼻柱をできるだけ下に延ばして、鼻柱と鼻翼の位置関係(ACR)を下に向かったV字型にします。
上を向いた鼻尖も下に下げます。

オープン法で切開しました。

L型のシリコンプロテーゼを抜去しました。
鼻中隔軟骨を採取しました。

鼻中隔軟骨を使って延長術を行い、鼻尖と鼻柱を下に移動しました。
鼻尖をさらに尖らせるために鼻先に耳の軟骨を1枚移植しました。
わし鼻のラインになるようにゴアテックスを鼻筋に挿入しました。

鼻柱と鼻翼の位置関係(ACR)を下に向かったV字型になり、希望通りの矢印鼻になりました。

笑った時も違和感を感じません。

横から見ると鼻先の高さが足りず、少しつぶれたようにみえるのがきになりました。
鼻先をもう少し高くして欲しいという希望がありましたが、延長術で鼻先を下に向かって限界まで伸ばしましたので、鼻先の皮膚にこれ以上高くしたり、長くしたりできる余裕はありません。
1年ほど待ちますと、鼻先の皮膚が伸びて多少の余裕が出てきます。
そこで、1年以上経過を待ってから修正手術を行う予定をたてました。

鼻の中だけ(クローズ法)切開しました。

鼻尖が前方に向かって高くなるように耳の軟骨を2枚追加しました。
同時に鼻背のプロテーゼも2㎜厚くしました。

4. まとめ

修正手術のタイミングはいつが好ましいのでしょう?
正直なところ、修正するなら1週間以内、できるなら手術の当日や翌日がベストです。
手術から1週間経過しますと、鼻柱や鼻腔内の切開した傷口は癒着しています。
しかし、術後1週間では移植軟骨がまだしっかり癒着していませんので、修正が比較的簡単に行えます。
ただし、術後1週間では炎症のために皮膚や粘膜は腫れて柔らかくなっているため、傷を縫合する時に注意しないと肉が裂けてしまったり、傷口がずれてしまったりします。
1週間以上経過すると軟骨の癒着が強くなりますし、皮膚や粘膜の炎症も一層強くなりますので、うまく縫い合わせることができなくなります。
1週間が過ぎてしまった時は、4ヶ月以上経過をあけて傷口の炎症が落ち着くのを待ってから修正手術を行うのがよいです。