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眼瞼下垂~第4章 : 眼瞼下垂の治療法・筋肉が弱っているタイプ

通常はまぶたの奥にある眼瞼挙筋と呼ばれる筋肉がまぶたを持ち上げる働きをします。しかし、このタイプの患者さんではこの筋肉が使いものになりません。

残念ながら、弱った筋肉を力持ちにできるような治療法は今のところありません。

眼瞼下垂~第4章 : 眼瞼下垂の治療法・筋肉が弱っているタイプ 目次

「つり上げ術」まぶたを持ち上げる力を強くする

[前頭筋]

前頭筋

そこで眼瞼挙筋の代用品を用意する必要があります。代用品としては、おでこにある前頭筋を使用します。

そうして、前頭筋の動きによってまぶたが持ち上がるように前頭筋とまぶたをつなげます。

[4本のゴアテックスのテープを埋め込む]

4本のゴアテックスのテープを埋め込む

そのためには、テープをまぶたの皮膚の下に通して、一方の端を前頭筋の先端に結びつけ、もう一方の端をまぶたの先端に縫いつけます。

そうすることによって、前頭筋を動かすとまぶたを上に引き上げることが可能になります。

4本のゴアテックスのテープを埋め込む

私は4本のテープを埋め込むようにしています。というのは、4本の長さのバランスを調整することで、目を開いた時の開きの大きさと形(ピークの位置)を調整できるからです。

このつり上げ術に私が使用しているテープは、ゴアテックスでできています。

自家組織を使った手術の利点と欠点

自家組織を使用する場合は、太ももやこめかみの皮膚を切開してその下にある筋膜と呼ばれる硬いシートを採取して、そのシートを細く切ったテープを用います。

利点

感染が起こりにくく、拒絶の心配がない。

欠点

筋膜は時間がたつと縮んでくるため、目が開きすぎて、閉じにくくなってしまう。

ゴアテックスの利点と欠点

利点

ゴアテックスは、術後に縮んでしまうことがない。

欠点

異物であるため、長期の経過のうちに感染を起こす可能性がある。

もし、感染が起きたら

感染したゴアテックスを抜きとることで治療できる。

通常つり上げには4本のテープを使用しますので、1本や2本抜き去ってもまぶたは下がりません。

また、ゴアテックスを抜き取っても、ゴアテックスが入っていた部分に瘢痕という硬い組織が形成されますので、まぶたが下がってしまうことはありません。

もし、まぶたが下がるようなことになったら、その時は感染が治った後で新たにゴアテックスのテープを埋め込むことで対処できます。

つり上げ術の問題点

患者さんが下の方を見た時に眼瞼が開き気味になることです。

下を見た時に黒目やその上の白目がギョロッと見えてしまいます。これはかなり不自然な印象を与えますが、この方法の宿命です、避けることはできません。

下を見る時に、目だけを下に向けないで、顔全体を下に向けるように患者さん自分で訓練して覚えていただくほかありません。


第5章は「眼瞼下垂の治療法:筋肉とまぶたの連結がゆるんだタイプ」です。

筋肉とまぶたの連結部分がゆるんでしまったため、筋肉の力がまぶたに上手く伝わらなくなったものです。