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ワキの臭い対策と美容外科でのワキガ手術について

■ワキガとは?

「ワキガ」という言葉を聞いたことがある人も多いかと思います。しかし、通常の汗臭さとワキガは、どこが違うのでしょうか。どちらも汗の臭いであることには変わりありませんが、その発生源が異なります。

まず、汗臭さと体臭の違いについてご紹介します。
暑い日や運動をする際に身体から出てくる汗は、「エクリン汗腺」という汗腺から出ています。9割以上が水分でできているため、この汗は無臭です。ただし、塩分やミネラルなどもわずかに含んでおり、汗をたくさんかくときなどは成分がそのまま排出され、塩気が感じられるしょっぱい汗が出ます。このように塩分を含む汗は、肌の常在菌のエサとなり悪臭を放つという仕組みです。

一方ワキガの場合は、ワキや耳の穴、陰部などに存在している「アポクリン汗腺」という汗腺から出た汗によるものです。アポクリン汗腺から出る汗は、エクリン汗腺から出る汗とは違い、脂肪やアンモニアを多く含み、乳白色をしています。さらにワキガの人には「ジフテロイド菌」という常在菌が多く住み着いており、この菌が汗を分解することでワキガ特有の臭いを発生させています。アポクリン汗腺は生まれつき数が決まっているため、ワキガは遺伝によるところが大きいと言えるでしょう。

では、アポクリン汗腺によるワキガの臭いとはどのようなものでしょうか。
ワキガと汗臭さの一番の違いは臭いです。エクリン汗腺から出る汗は上記の通りしょっぱさを感じる、むわっとしたものですが、ワキガの臭いは皮脂やタンパク質などが含まれているため、ツーンとしたような特有の臭いが生まれるのです。

■ワキガチェックをしてみよう

実際にワキガであるか否かは、自分で確認するのは難しいでしょう。自己診断できる方法がいくつかあるため、以下でご紹介します。これらのような特徴がある場合は、ワキガの可能性が高いです。

・耳垢が湿っている
アポクリン汗腺は、耳の穴にも存在しています。そのため、耳垢が濃くベタベタしている場合は、耳の中のアポクリン汗腺が発達している状態だと言えるでしょう。耳のアポクリン汗腺が多いということはワキのアポクリン汗腺も多いことが予想されます。

・両親がワキガ
アポクリン汗腺の数は、遺伝によって生まれつき決まっています。そのため身内にワキガの人がいる場合はワキガである確率も上がります。ちなみに、片親がワキガである場合は50%、両親がワキガである場合は80%で遺伝します。

・汗染みが黄色い
アポクリン汗腺から出る汗は、タンパク質や脂質、糖質などさまざまな成分を含んでいることから、粘り気が出やすいという特徴があります。さらに服などに付着すると、黄ばみやシミになりやすいという性質もあります。ただし、制汗剤の使用によって服が黄ばむ場合もあるので、デオドラントスプレーを使わないときにチェックしましょう。

・ワキ毛が濃い
ワキ毛が濃いことが、アポクリン汗腺が多いことを意味するわけではありません。しかし汗腺と毛根の数は比例しているため、ワキ毛が濃かったり多かったりすると、アポクリン汗腺が発達している可能性が高いと言えます。また、ワキガは男性より女性の方に多いという傾向もあります。

・ワキ毛に白い粉がつく
ワキ毛に付着する白い粉状のものは、アポクリン汗腺からの分泌物が結晶となったものです。そのため、何もしていないのにワキ毛に白い粉状のものが付いている場合は、ワキガである可能性が非常に高くなります。

■自分でできるワキの臭い対策

上記のチェックは、当てはまる項目が多いほどワキガである可能性が高くなります。しかし、たとえワキガであっても自分でできるケアを行なったり食生活に気をつけたりするだけで軽減することも可能です。次に、自分でできるワキガの臭い対策を見てみましょう。

・汗をこまめに拭く
まずはアポクリン汗腺で菌を繁殖させないことが、臭いを防ぐことにつながります。汗をこまめに拭き、ワキを清潔に保つように心がけましょう。また、汗をかいた服を着たままでいると、菌が繁殖しやすくなります。汗をかいたら着替えることも大切です。

・ワキガ用の制汗剤やクリームを使う
さまざまな制汗剤が発売されており、中にはワキガ向けを謳ったものもあります。こうしたアイテムを駆使するのも良いでしょう。特に塩化アルミニウムを含んだものが臭いを抑えられるので、チェックしてみるのもおすすめです。

・肉や魚を食べすぎない
動物性脂肪を多く摂取するとワキガの臭いが強くなります。特に近年の日本人の食生活は欧米化していることから、意識して肉や魚の摂取量を控えたり野菜を多く食べたりすると良いでしょう。

■気になる人は美容外科のワキガ手術も

上記でご紹介した方法は、ワキガが軽い人には向いていますが、症状が重い人には思ったような結果が得られないこともあるでしょう。日本人のワキガの割合は10〜16%と他国に比べると少ないことから、周りの目が気になるという人もいるはずです。美容外科でもワキガの治療を行なっているため、検討してみると良いでしょう。

当クリニックでは、主に以下のような治療を行なっています。

・ボツリヌス菌注射
筋肉の働きを抑える「ボツリヌス菌」を注射することで、症状を抑えるという施術です。主にエラの縮小や表情ジワ、ふくらはぎの筋肉萎縮などに使われています。ワキガの治療の際は、ワキに注射してアポクリン汗腺の働きを抑え、汗量を抑えることで菌の繁殖も抑えることができます。ワキガの他に多汗症にもおすすめです。

施術の際は、カウンセリングをして注入部を決め、その箇所に沿って注射を打っていきます。わずか5分ほどで完了し、そのまま帰宅することができます。術後2〜3日すると徐々に結果が表れ、1週間後にはより結果が感じられるようになります。1回の注射で半年から1年ほど続き、回数を重ねるほどに持続期間が長くなることもあります。

・反転剪除法
ボツリヌス菌注射は、回数を重ねると持続期間が長くなるにせよ、基本的には一時的な結果を得るためのものになります。より明確な結果を求める場合は「反転剪除法」という方法があります。汗腺自体をなくしてしまうため、こちらもワキガと多汗症の両方の結果が得られます。

施術の際はワキの下を4センチほど切開して、ワキ毛が生えている範囲の皮下を剥離し、肉眼で確認しながらアポクリン汗腺を除去していきます。メスを使う手術であるため麻酔を使用し、手術時間は1時間半ほどです。術後は、ワキ部分を固定し腕を上げないようにして過ごさなくてはなりません。手術の翌日と3日後、半月後、1ヶ月後など複数回の通院が必要となります。また、ワキの皮膚を極限まで薄くする施術でありながら、皮膚に壊死や穴を起こさせてはいけないため、担当する医師の経験や技術力が求められます。

ワキガは遺伝的なものですが、実際にアポクリン汗腺は思春期以降に発達することが多いです。そのため、ワキ毛が生えない小学生の頃は、アポクリン汗腺は未発達で、ワキ毛がないことから菌は繁殖しにくい状態にあります。ワキガ体質であったとしても実際に気になることはほとんどないでしょう。

中学生くらいからワキ毛が生えはじめアポクリン汗腺も発達するようになります。実際にこの頃からワキガを自覚する人が多く、多感な時期であることから悩みはじめます。しかし実際に手術を受けるのは、アポクリン汗腺が発達し終わり、ワキ毛の濃さが親と同等になる高校生以降にしておくのがおすすめです。ボツリヌス菌注射は手軽に受けることができますが、剪除法の場合は通院が必要になるなど、ダウンタイムを十分に設けられるときに行うほうが良いです。1週間以上の休みが取れる夏休みや春休みといった休暇を利用してみるのも良いでしょう。

■ワキ脱毛とワキガ手術、どちらからやるべき?

ワキガの人はワキ毛が濃い、多いという傾向があることから、ワキガと同時にワキ毛の量などに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ワキガの施術を受けやすくするためにも、まずは邪魔になりそうなワキ毛から脱毛しようと考えがちですが、おすすめは最初にワキガの施術を受けることです。というのも、剪除法の施術では、アポクリン汗腺を除去する際にワキの毛根も一緒に除去されるからです。多いと7割ほどのワキ毛を脱毛することができるため、まずは剪除法を行い、残った毛を医療脱毛で除去するという手順を踏むと良いでしょう。

また、すでにワキのレーザー脱毛を行なっている方の場合は、剪除法を行うにはレーザーの傷を完全に治してからとなります。少なくともレーザーを当ててから1ヶ月は様子を見るようにしましょう。

剪除法の場合、アポクリン汗腺自体を除去するため、明確な結果を得られる点が魅力です。しかし中には、術後にワキガが再発したと言う人がいます。一度除去したアポクリン汗腺が再発することはありませんが、臭いを感じるには以下のような理由が考えられます。

・汗腺の切除不足
手術後すぐから臭いを感じたり、ワキ毛がこれまで通り生えてきたりしたら、アポクリン汗腺の切除不足を疑いましょう。臭いのもととなる汗腺が取り除けていないため、臭いとワキ毛の両方が残ってしまっている状態です。

・切除範囲が足りていない
手術をしてからしばらくした頃にベタベタした汗が気になる場合は、切除範囲が足りていなかったことが考えられます。剪除法の際には4センチほど切開しますが、その範囲外の部分に汗腺が残っているのです。

・エクリン汗腺からの汗の臭いを感じている
アポクリン汗腺の除去は成功しているけれど臭いを感じる場合は、アポクリン汗腺ではなくエクリン汗腺から出る汗の臭いを感じ取っていることがあります。サラサラした通常の汗なので気にする必要はありません。

ワキガの基本情報と日々の中でできる対策法、美容外科でできる施術法をご紹介しました。ワキガは遺伝的なものであるため、自力で対処するのは難しいところがあります。どうしても気になる場合は、施術の適齢期や注意点を知った上で、美容外科の治療を受けてみてはいかがでしょうか。その際は、カウンセリングからアフターケアまで依頼できる医師に頼むことが成功への近道となります。