大きいほくろは目立ってもガマン? 美容外科でできるほくろ除去とは
大きいほくろが気になる
大きいほくろのデメリット
ほくろはチャームポイントにもなります。かつてヨーロッパの貴族の間でつけぼくろと呼ばれる、ほくろを模したおしゃれのためのアイテムが流行したことがありました。何も特徴のない顔よりも、その人らしさが印象に残るほくろがあるほうがいい、個性的な見た目を自慢に思えばいいという意見もあったそうです。
しかし、実際には、大きいほくろを持っていると気になるデメリットが生じやすいのは、みなさんも経験からよくご存じでしょう。
・引っかいて出血することがある
出っ張りが感じられるほど膨れた立体的な大きなほくろは、手や物で傷つける機会が増えます。
特に、衣服の着替えで擦れやすい身体のほくろや、髪をとかしているときに触る頭部のほくろ、脱毛の必要な腕や脚のほくろは、手や櫛、カミソリで傷めるリスクが高いです。
しかし、日々行う必要のある行動であるため、頻度を下げることもできません。
・汚れが溜まりやすい
膨れた大きなほくろを傷つけることが続くと、傷つけないように慎重に触るのが習慣になります。この段階になって問題となるのが、汚れを落としきれないことです。
入浴や洗顔、洗髪で大きなほくろやその周囲を何となく避けるようにして洗っていると、その部分に汚れが蓄積しやすくなってしまいます。長期化すると汚れよって肌にかゆみや肌荒れが出てしまうことも。
特に頭部の場合は雑菌が繁殖しやすい箇所であるため、残った汚れのせいでかゆみに加えてフケや臭いが出てしまうこともあります。衛生面からは改善が望ましいですね。
・汚れやゴミと間違えられる
大きなほくろは、しばしば色合いが通常のほくろと異なる場合があります。
ほくろと認識されるような色ではないと、見た人がほくろ以外の物だと勘違いして声をかけてくることもあります。例えば口元に近い位置のほくろであれば「食べカスがついているよ」といった誤解が生じやすいですね。
・人の目を惹き、ほくろが印象を奪う
大きなほくろが顔などパッと見たときに視界に入る位置にあると、その一点を集中して見られてしまうことがあります。特に初対面の相手などに起こりがちです。
人柄や会話の内容よりも見た目の印象が強くなってしまうと「ほくろの人」という印象が強くなってしまうこともあり得ます。本来評価されるべき点に適切に注意を向けてもらい、適正な評価を下してもらうための工夫が必要になるでしょう。
大きいほくろの原因
では、このような大きいほくろはなぜできてしまうのでしょうか?
私たちが一般的にイメージする大きく膨れたほくろは、医学的には「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」「色素性母斑(しきそせいぼはん)」と呼ばれます。メラニン色素を作るメラノサイトという細胞に似た「母斑細胞」が増殖して、いわゆるほくろを形成します。
母斑細胞母斑にはいくつかの種類があります。
・境界母斑
境界母斑は、母斑細胞が表皮と真皮の境目にあたる部分に位置しているタイプの母斑です。メラニン色素が多く黒いのが特徴です。形は平坦で盛り上がりはありません。
・真皮内母斑
真皮内母斑は、母斑細胞が真皮の中に位置しているタイプの母斑です。メラニン色素が少ないため、肌色や薄い茶色をしています。盛り上がった形になっています。
また、これらの中間に位置するタイプの母斑細胞母斑である「複合母斑」もあります。
・複合母斑
複合母斑は、表皮と真皮の境目から真皮の中でも浅い位置にあるタイプの母斑です。メラニン色素は比較的多く、黒や茶色をしています。盛り上がった形です。
生まれつきある母斑細胞母斑は成長するにつれて徐々に増殖を続けていきます。増殖する場所がより深くなると複合母斑や真皮内母斑になっていくのです。
大きいほくろは除去できる? ほくろ除去の方法
では、ほくろを除去するにはどうしたらよいのでしょうか?
美容外科に通い慣れている方や情報収集されている方がよくご存じのように、小さなほくろはレーザーを用いて除去するのが一般的です。
・CO2ガスレーザー
CO2レーザーは炭酸ガスレーザーとも呼ばれます。赤外線の波長の光を皮膚に当てることで皮膚内の水分に熱エネルギーを生じさせ、一瞬でレーザー照射を受けていた患部が蒸散するという仕組みです。熱の力で表面が固まるため、出血もなく短時間で処置が終わるのが特徴。
しみやそばかす、いぼ、にきび、小さいほくろに用いられます。
・QスイッチYAGレーザー
QスイッチYAGレーザーはメラニン色素によく吸収されるように設計されています。メラニン色素を過度に刺激しない出力の小さなレーザーであるため、レーザー照射によりかえって活性化する懸念のあった肝斑にも使用できるという利点があります。
肝斑のほかにも、しみやそばかす、くすみ、タトゥーやアートメイクの除去にも用いられます。
このようなレーザーは出血が少なく短時間で処置できるという大きなメリットがある一方で、深い位置にある母斑細胞母斑を扱いにくいというデメリットがあります。
複合母斑や真皮内母斑のように肌の深い位置に達するタイプの大きなほくろは、その「根」にあたる母斑細胞まで除去する必要があります。もしこのような深部に達する母斑細胞母斑をレーザーで処置するとなると、深い部分がごく小さい範囲に収まるものだったとしても、深い位置まで取り去る必要から何度もレーザーを照射する必要があり、必要以上に侵襲的な手術をすることになってしまいます。
また、侵襲性に配慮して回数を減らしてしまうと、取り残した母斑細胞が増殖して、またほくろが盛り上がってくる恐れがあります。
このため、複合母斑や真皮内母斑といった大きなほくろを除去する際には、メスを使い医療用の糸で縫合する「切縫法(せっぽうほう)」をとります。
再発しないよう母斑細胞母斑を根こそぎ取り除けますし、レーザーと違って傷口を縫い合わせて引き寄せることができるので、へこみの目立たない、より自然な施術跡に仕上げやすいです。
あえて一度に取らない方法を採用する場合もあります。かなり大きいほくろになると、ほくろを除去した後のへこみが大きすぎて、へこみが元に戻らないリスクがあるため、皮膚への負担がいっときに集中しないように、ほくろの除去を複数回に分けて実施するのです。
どのような除去方法にするかはほくろの状態と医師の判断によるため、まずはご相談からスタートすることになります。
大きいほくろの除去で注意すること
大きいほくろを除去する際に注意したいのは、抜糸する必要がある点です。丁寧に縫うことで傷跡を目立たないように工夫することはできますが、抜糸するまでは糸が見えてしまいます。抜糸までは1週間ほどです。記念撮影や証明写真の撮影が予定されているのであれば、余裕をもって準備する必要があります。
傷跡が消えるまで数カ月から半年程度かかる点にも注意が必要です。また、傷そのものだけでなく、傷跡の肌のケアにも気をつけなければなりません。傷のできた後の肌はデリケートになっているため、強い紫外線を浴びるとシミなどを引き起こす可能性があります。すぐに見えなくなるものではないので、長い目で様子を見守るようにしなければなりません。
また、個人差があり絶対にないとは言い切れない術後の変化として、ケロイドや肥厚性瘢痕が出る場合があります。強いやけどをしたりすると、肌の表面が赤く盛り上がってミミズ腫れのようになってしまうことがありますね。特に身体のほくろで、背中や胸、肩のような部位はこれらが生じやすいです。もし身体にある大きなほくろの除去を希望されるなら、事前に身体の傷のできやすさなどを医師と確認しながらほくろの除去についてよく相談しましょう。術後にケロイドや肥厚性瘢痕が生じた場合でも内服薬やステロイド軟膏・ステロイドテープ、ステロイド注射、患部圧迫、手術などの対策ができる点も心に留めておいてください。
なお、妊娠中の方のほくろ治療はおすすめできません。妊娠初期から妊娠後期まで、心身のストレスにより体調不良を引き起こしやすいですし、お腹が張るなど早産につながることも起こり得ます。急にできた形のおかしいほくろなど緊急の手術の必要性が予想される場合は別ですが、以前からある良性腫瘍としての母斑性母斑については、出産されてから除去をご検討ください。
【大きなほくろを取るという選択】
大きなほくろは、チャームポイントとしてそのまま楽しむこともできますし、美容外科で除去することもできることがわかりました。
ほくろの除去にあたっては、基本的にメスで切除し医療用の糸で縫合する切縫法が用いられるであろうこと、また、術後は紫外線対策などのケアと経過観察が大切です。
毎日気になるほくろに悩むことがなくなれば、ずっと頭の片隅を占めていた気になる悩みが消えた分だけ、今の目の前のことに集中できるでしょう。
もし除去しないという結論になったとしても、考え続けなくてよくなればそれだけでも生活の質が向上します。もし大きいほくろが気になるなら、まずは美容外科へほくろの除去について相談することから初めてみてはいかがでしょうか?
顔や手足、頭部の髪の間や身体と様々な場所にほくろはありますね。そんな数多くあるほくろの中でもどうしても気になってしまうのが、大きなほくろ。例えば1センチ四方という平面の問題だけでなく、高さも1センチになるような、そんな立体的なほくろもあります。盛り上がったほくろは邪魔なものです。
多くの場合、小さい頃からあって大きさもほとんど変わらないほくろは、そのままにしていてもかまいません。しかし、子供の頃はあまり気にならなかった大きさも、大人に近づいていくうちにしだいに不便さが身に染みてくるようになることもあります。
実際に大きなほくろを持っている人なら、思い当たることはあるのではないでしょうか?