薄毛の原因はヘアサイクルの乱れ
毛髪再生療法とは?
毛髪再生療法とは、男女問わず薄毛に対する治療法で、成長因子(グロスファクター)を直接頭皮に注入していく治療法。成長因子とは、細胞を活発化させる働きがある、人間の体内にあるたんぱく質の一種です。
この治療は頭皮の再生、発毛、育毛、AGA(男性型脱毛症)、女性の薄毛に対する治療です。毛髪再生療法は、美容外科などの医療機関でしか受けられません。
ヘアサイクルが乱れている一因は、主に血行不良です。血行不良になると頭皮が固くなり、毛穴も詰まりやすくなってしまいます。これは成長因子を注入することで、頭皮の環境にも変化がみられるようになります。血行が良くなれば、栄養や酸素を循環させられるので、頭皮の環境もよくなり、だんだんと健康な髪が育つようになっていくのです。成長因子は、血行が正常になることによって皮膚を再生させ、頭髪の発毛、育毛にもよい環境に整えてくれるため、毛母細胞の分裂がまた活発になります。
このように、成長因子は頭皮の環境変化と髪を強化して、ヘアサイクルを正常に戻す役割を果たしています。毛髪再生療法は自然に頭髪の量を増やし、自然に髪が生えてくるのです。
続いて、毛髪再生療法の施術方法について見ていきましょう。
毛髪再生療法の施術について
毛髪再生療法は身体に影響がなく、自分の毛髪を健やかに育て、薄毛のケアに適した方法。施術時間は、前後のケアを含めて1時間ほどで、成長因子を注入する時間は10~20分くらいです。治療に通う頻度は、療法や個人によって異なりますが、主な治療法として、HARG療法、BENEV療法、メソラインヘア療法があります。
・HARG療法
HARG療法は、人間の幹細胞から抽出された150種類以上の成長因子を頭皮に注入します。毛母細胞を刺激することによって発毛し、頭皮の育毛、増毛に対する治療法です。医療機関でしか施術できません。ほとんどの方が月1回の通院を3~4回繰り返すことで変化を得ています。
・BENEV療法
薄毛の要因である成長因子の減少に注目し、医療技術を応用した毛髪再生治療。アメリカのベネブ社製造の成長因子を頭皮に注入し、ヘアサイクルを正常化します。男性、女性を問わず、あらゆる薄毛の原因に発毛が認められ、ベネブ社製造の多種を含んだ成長因子は頭皮からの吸収が優れているため、早い時期から体感できるのが特徴です。1~10日間に1~2回の通院を約1ヶ月半~3ヶ月継続することが望ましいです。
・メソラインヘア療法
メソラインヘア療法は、BENEV、HARG療法に比べると、薬の効力は弱いですが、治療の変化が出た後、維持するためのメンテナンスとして行なう治療法です。
1週間に1回を8クール、約2ヶ月続けるのが望ましいです。育毛状態によって治療回数は異なってきます。
増毛との違いは?
薄毛を劇的に変えてくれる方法として、増毛という手段もあります。
増毛の施術方法は4種類ありますので、それぞれ説明していきます。
・結毛式増毛法
この施術は、自毛の1本に2~6本の人工毛を結びつけていく施術法です。自毛の伸びに合わせてメンテナンスを要します。
・編み込み式増毛法
編み込み式は、特殊糸の土台に人工毛と自毛を編み込んでいく方法です。見た目は自然ですが、月に一度のメンテナンスが必要となります。
・接着式増毛法
人工毛のシートを直接頭皮に貼りつけていく方法です。短時間で増毛でき、自分で取り外せるタイプもあります。場所によっては自毛を剃って貼りつけなくてはなりません。
・着脱式増毛法
かつらを金具などで固定する方法で着脱が可能です。気軽に使えてヘアアレンジもできる方法となります。
増毛のよい点は、すぐに結果を確認できるところです。髪の少ないところにすぐに増やすことができますので、早急に髪を増やしたい方には持ってこいの施術法です。また、髪の少ない箇所に部分的に増やすこともでき、身体への直接的な影響ないのも大きなポイントです。
しかし、これらの施術にはデメリットもあります。自然に育毛する箇所との差が出てくるため、メンテナンスを定期的に行わなくてはなりません。それに伴って費用もかかってきます。身体への影響はありませんが、自毛に負担がかかってしまい、根本的に薄毛自体の治療はできないのです。増毛は一気に見た目の変化が大きいので、個人的には満足感はあるでしょう。しかし、周囲からの目線も気になりますし、それに対する抵抗も出てくるかもしれません。
これらの増毛の他にも、自毛植毛という方法もあります。自毛を薄毛部分に植え込む施術です。この施術で、ヘアサイクルに合わせて自然と髪も生えてくる場合もあるようです。しかし、頭髪自体が少ない方には変化はあまりないかもしれません。人工毛の植毛もありましたが、現在では身体への影響も考えられるので使用を勧告されています。
毛髪再生療法と増毛の大きな違いは、自らの頭皮環境のケアをしながら育毛をするか、時間をかけず人工的に髪を増やすかという点です。そして、ゆっくり施術して変化を待つか、すぐに感じられるかといった満足感の問題もあります。
生活環境を見直してみよう
毛髪再生療法を受診するうえで、生活の環境を変えていくことも変化を得るためには必要です。ヘアサイクルは、生活環境を見直すことが近道にもなります。少しでも理想に近づけるように心がけてみましょう。ヘアサイクルの乱れは、生活環境の乱れ、ストレスが影響している一因でもあるのです。
どのような点を見直すかというと、まずは、根本的には規則正しく健康的な生活を送るのが理想です。
次に、血行改善のために新陳代謝をあげるように有酸素運動をしましょう。運動を継続して続けるのは難しいという方は、普段から歩く習慣をつけてみてください。
そして、睡眠も体内のリズムを整えるためには欠かせません。できるだけ早めの就寝を心がけてたっぷり休息をとりましょう。日常のストレスも、睡眠時間を十分にとることで減らすことができます。
また、シャンプーはアミノ酸系で刺激が少なく、自分に合ったものを使いましょう。頭皮を健やかに保つシャンプーも大切です。シャンプーの時やお風呂上りには頭皮の血行を良くするように、マッサージすることを癖づけておくとよいでしょう。頭皮が固くなっていると育毛に支障をきたしてしまいます。
頭皮の環境を整えるために必要なのは、やはり食事です。体内に吸収する栄養素は、頭皮のケアだけでなく、身体の健康にもつながっていきます。
髪を作るために必要なのは、主成分のたんぱく質。皮膚の新陳代謝や、髪の成長、頭皮の環境変化には不可欠な栄養素です。たんぱく質を多く含む食品でおすすめは納豆。大豆に含まれるイソフラボンは、薄毛の一因である男性ホルモン、テストステロンの過剰分泌を抑えてくれます。他にも、鳥のささみやいわし、乳製品、卵でもたんぱく質を摂取できるので合わせて摂取してみてください。
たんぱく質は必要な成分ですが、この働きを助ける栄養素も同じように摂取しておかなくてはなりません。その栄養素は亜鉛で多く含んでいる食品は牡蠣。特に生牡蠣には多く含まれています。他にも牛肉、レバー、うなぎにも亜鉛が含まれています。亜鉛は、特に男性には必要な成分ですが、体内の働きを多く助けているため不足しやすい栄養素になります。意識して食事に取り入れていくことが必要になってきます。
また、血管を広げて血行をよくするビタミンEや、酸化を抑え頭皮を丈夫にするビタミン群も、頭皮ケアのサポートをする大切な栄養素です。ビタミンEはナッツ類、ビタミン群は緑黄色野菜やフルーツで摂取できます。
こうしてみると、どの食材もまんべんなく摂取しておくことが、頭皮の健康には大切なことなのです。
不規則な食事や生活は薄毛だけでなく、健康そのものも壊してしまいますから、そういった面でも生活環境を整えるのは大切なことです。
もうつけ加える必要はないかもしれませんが、念のため補足しておきます。スナック菓子や甘いもの、アルコールやたばこは、頭皮によい影響を与えませんので、多く摂取しないように心がけましょう。
運動をして、たくさん寝て、バランスの良い食事をすることが薄毛対策への近道。仕事で時間もうまく取れない方も多いかもしれませんが、できることから地道に頭皮の健康を目指しましょう。
まとめ
薄毛の原因から、毛髪再生療法の詳細と生活環境のことまでお話してきました。
毛髪再生療法は身体への影響もなく、頭皮の変化を目指すことで自然に頭髪が生えてくるようになる画期的な治療法です。治療とともに自分で生活の環境を変えていければ、毛髪再生療法の経過も変わってくることでしょう。
頭髪はずっと伸び続けることはありません。
一定期間で抜け落ち、そこから新たな髪が生えてくるというサイクルを繰り返しています。
髪は毛細血管から取り入れた栄養をもとに毛球部で作られ、毛球部にある毛母細胞が、分裂を繰り返しながら古い髪を押し上げて新たな髪が生えてくるのです。このように、髪が発毛してから抜けるまでの周期をヘアサイクルと呼んでいます。
ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期の3期で区切ることができ、現状で生えている髪をこの3期間で分類すると、頭髪全体の約90%が成長期、約1%が退行期、約10%が休止期に該当します。髪の1本1本は発育の状態が違うため、ヘアサイクルもそれぞれ異なっているのです。
ヘアサイクルの期間は、正常な場合だと成長期が約2~6年、退行期は約2週間、休止期は約3~4か月、トータルで2~6年くらいです。
ヘアサイクルの期間ごとに、髪が育っていく過程はこのようにわかれています。
まず成長期には、毛母細胞がさかんに活動して丈夫で健康な髪が育ち、次の退行期で毛母細胞の分裂が衰え成長が鈍くなっていき、最後の休止期には毛母細胞の分裂が止まると髪が抜けていくのです。
このヘアサイクルのバランスが悪くなると薄毛の原因となります。ヘアサイクルが崩れると、育毛の要になっている成長期の過程の毛母細胞の働きが弱まり、毛母細胞の動きが鈍くなると、次第に頭皮も固くなって髪が育ちにくくなります。さらに毛穴も小さくなり髪が細くなるのです。
通常の成長期の周期は2~6年くらいなのに比べて、薄毛の場合はとても短く数か月~1年といわれています。育毛の時期が短縮されるわけですから、完全に育毛する間もないまま、髪が抜けていく状態が続いてしまうのです。
つまり、ヘアサイクルのバランスが崩れると頭皮や頭髪自体にも影響し、健康な髪が生えてこなくなるということになります。
健康な頭皮にするには、崩れてしまったヘアサイクルを整えて、薄毛をケアしなくてはなりません。その治療法が美容整形で受診できる毛髪再生療法なのです。