
以前に豊胸術の全般的なお話、そしてヒアルロン酸による豊胸術についてお話しさせていただきました。
今回は、脂肪注入についてお話ししたいと思います。
脂肪注入による豊胸術にも、ヒアルロン酸注入同様、メリットとデメリットがあります。
まず、他の術式と比べて優れていることからお話ししていきます。
1.自家組織であること
ご自分の組織を用いて豊胸したいという方にとっては、脂肪注入という方法になります。
元々バストが大きい方も、その中身は乳腺組織と脂肪で出来ているわけですから、ナチュラルバストにこだわる方にとっては、良い方法といえます。
2.感触が柔らかいこと
ご存知の通り、脂肪は非常に柔らかい組織です。後述する変性脂肪によるしこりさえできなければ、とてもやわらかい感触になります。
3.傷が小さいこと
これは、人工乳腺による豊胸術と比較してということになりますが、脂肪注入の際には、バストの外側や乳輪の境界といった目立たない場所に1.5ミリ程度の小さな穴をあけ、そこから細い針で注入していきます。
術後しばらくの間は、刺入部に虫刺されのような小さな赤い痕は残りますが、時間が経てばほとんど目立たなくなります。
4.一石二鳥であること
脂肪注入を行うためには、その前提として必ず脂肪吸引を行う必要があります。
ですから、バストも大きくしたいけどスリムにもなりたいという方にとっては、その両方が同時に叶えられる一石二鳥の治療になります。
では逆にデメリットはどういったものでしょうか?これも箇条書きにしてお話ししていきます。
1.注入した脂肪の一部は吸収されてしまう
前述したヒアルロン酸のようにそのすべてがいずれ吸収されてしまうという訳ではありませんが、脂肪も注入後しばらくの間は徐々に減少していきます。
一般的な注入方法を用いると20~40%程度は吸収されてしまいます。
では、最初からその分余分に注入しておけば良いのではという話になりそうですが、そういう訳にもいきません。
それが次のデメリットです。
2.一度に注入できる量に限界がある。
脂肪は生きた細胞ですから、移植された脂肪がその後、持続的に定着するためには、酸素や栄養分の供給が必要になります。
限られたスペースにあまりにも多くの脂肪をむりやり注入してしまうと、一つ一つの細胞への供給量が少なくなり、場合によってはそのほとんどが壊死してしまうことになります。
これは、魚を飼うときに、小さい水槽に大量に魚を入れれば、酸欠であっという間にみんな死んでしまうのと同じようなものです。
さらに壊死した脂肪は、場合によっては吸収されず変性し、しこりを形成したり石灰化したりします。
体型にもよりますが、一度に注入できる脂肪の極量は200~250cc程度です。
これは、それ以上注入できないということではなく、これ以上注入しても定着する量が変わらないか、場合によっては少なくなってしまうということです。
特に、元のバストが小さい方は、それより少ない量でも脂肪がすし詰め状態になる可能性もあり、この場合さらに注入量を少なくせざるを得ないこともあります。
こういった場合、さらなるサイズアップを望まれる方は、最初の注入から半年程度待って再度注入する必要があります。
3.人工乳腺と比較して、サイズアップに限界がある。
先ほど一度に注入できる脂肪量は200~250ccとお話ししましたが、これが最終的に定着してできるバストのサイズアップは1~2カップです。
人工乳腺であれば、一度に3カップ、4カップ、元の体型によってはそれ以上のサイズアップも可能ですが、脂肪注入では3カップまでが限界です。
ましてや、元の体型や栄養状態、年齢、喫煙など様々な要因で、実際に定着率は違ってくるので、一度の手術でこのくらいは大きくしたいという目標が明確な方には、人工乳腺の方がおすすめです。
4.人工乳腺の豊胸術より手術が大変
単純に胸の手術として見たときには、人工乳腺を入れるより脂肪注入の方が手軽に感じると思いますが、先ほどもお話ししたように、脂肪注入をするためには脂肪吸引を行わなければいけません。
片側に250ccの脂肪を注入しようとすると、単純計算、両側で500ccの脂肪が必要になります。
最近は脂肪を遠心分離して濃縮して注入することが一般的になっていますが、濃縮することで脂肪のボリュームは小さくなってしまう訳ですから、さらにたくさんの脂肪を準備する必要があります。少なくとも800cc、できれば1000cc程度の脂肪吸引を行わなければ、目標の注入量が確保できないと思います。
1000ccの脂肪吸引というのは、けっこうなボリュームです。
特に、痩せている方であれば、お腹全体から吸引しても足りないくらいの量です。
また、術後の痛みについても、脂肪注入したバストより、脂肪吸引した部分の痛みの方が強いケースが多々あります。
当然、吸引が広範囲になればなるほど大変な治療になります。
また、手術時間についても、人工乳腺の挿入より時間がかかります。
どの程度の範囲の脂肪吸引をするかにもよりますが、人工乳腺の豊胸術の少なくとも二倍以上の時間はかかってしまいます。
如何でしょうか?メリット、デメリットとも理解いただけたでしょうか?
では、デメリットを極力少なくしてメリットを生かすためにはどうしたら良いでしょうか?
これには大きく分けて、二つの対策が考えられます。
一つは脂肪の定着率を極力アップさせる工夫、そしてもう一つは手術の負担を極力減らす工夫です。
前者についても最近は様々な工夫を行っています。
この代表的な手技がコンデンスリッチファット脂肪注入です。
これの詳細についてはホームページを見ていただくといいと思うのですが、シンプルにお話しすると、吸引した脂肪を特殊なフィルターのついた容器に入れ遠心分離にかけることで、劣化した脂肪を取り除き、脂肪の定着をする幹細胞を通常より大量に含む濃縮した脂肪に形成する方法です。
こうして作られた脂肪は、通常の脂肪より定着率が高く、また従来の脂肪注入でみられる石灰化や脂肪壊死、しこり形成などがほとんど起こりません。
この手技にはデメリットはほとんどありませんが、しいて挙げれば遠心分離の過程に時間がかかることと、特殊なキットを使用する分費用が余分にかかってしまうことです。
もう一つ、最近取り入れられつつある手法が、脂肪注入前にBRAVA(ブラバ)を仕様する方法です。
BRAVA(ブラバ)とは、ドーム型のカップをバストに吸着させ陰圧をかけることで、バストの皮膚や組織を伸ばしバストアップさせる医療機器です。
従来は、吸引することで少しずつバストアップすることを目的とした機器でしたが、それだけではサイズアップに限界があり、特に日本ではあまり普及しませんでした。
しかし最近になり、このBRAVAを脂肪注入の術前に使用することによって、脂肪の定着率がアップすることが分かり、再び注目されるようになりました。
従来、BRAVAには、陰圧を持続的にかけることで、皮膚の伸展と血管が新たに生まれることによる血流アップが目指せるとされてきました。
脂肪注入の際には皮膚の伸展により注入脂肪量の増大になりますし、血流増加によって注入脂肪に栄養が行きわたりやすくなり、定着率のアップとなります。
最近は、美容目的の豊胸術だけでなく、乳房再建の際にもこの方法が用いられるようになってきました。
ただし、この方法には欠点もあります。
一つは、この器具の購入に結構な費用がかかることと、装着している間、苦痛を伴うことです。
施設によって異なりますが、脂肪注入にBRAVAを併用する場合、手術の4週間ほど前から開始します。一日10時間程度装着するのですが、その間持続的にバストを吸引されているので、人によってはかなりの痛みを伴います。
「多少辛くても、バストアップのためなら頑張れる!」という方にはお勧めの方法かもしれません。
ではもう一方の、負担を減らす工夫にはどういったものがあるでしょうか?
デメリットの一つに挙げたように、脂肪注入を行うためには必ず脂肪吸引の必要があります。
そして、その脂肪吸引の負担の方が大きかったりします。
ですから、いかに負担の少ない脂肪吸引を行うかが、この治療全体の負担軽減にとって重要です。
そこで行われているのが、ベイザー脂肪吸引です。
従来の脂肪吸引では、脂肪を吸引する際に、脂肪細胞の間にある神経や血管組織の一部を損傷してしまうことを避けることができませんでした。
これが、術後の痛みや内出血を悪化させる要因になっていました。
ベイザー吸引では、吸引を行う前に特殊な超音波(ベイザー波)を先端から照射する機械を脂肪内に挿入します。
このベイザー超音波の振動により、索状組織・血管・神経組織から 脂肪細胞のみを遊離します。
その後に吸引を行うため、索状組織・血管・神経組織を傷つけずに、脂肪細胞のみを吸引できます。
さらに、不純物の少ない脂肪が採取できるので、定着率のアップにもつながります。
欠点は、機械が高価な分、治療にかかる費用がどうしても割高になってしまうことですが、吸引部分の引き締めにもなるため、できれば選択したいところです。

今、世界中で地盤沈下やそれによる地面の陥没が深刻な問題になっているみたいです。
先日、テレビでそれに関する特集番組を見ました。
その原因の多くは農業用水や工業用水を確保するために行っている地下水のくみ上げにあるようです。
少しずつ沈下していくケースがほとんどですが、ある日突然大きく沈下することもあるようです。
今住んでいる家がある日突然沈下して傾く様を想像すると怖くなりますね。
今日のテーマはそこまで怖いものではありませんが、同じ地盤沈下のお話です。
地盤沈下といっても、土地や家のことではなく、もちろんお顔のお話です。
お顔で地盤沈下が問題となるパーツはどこでしょうか。
地盤沈下というからには、本来平坦なところに建っているべきものが、それより沈み込んでいるということになります。
如何ですか。
何か思い当たる顔のパーツはありますか。
答えは鼻翼です。正確には鼻翼の付け根です。
この部分を「鼻翼基部」と呼びますが、中顔面の骨格の発育の問題などで、ここが顔に埋もれるように沈み込んでいる方がいらっしゃいます。
土地の地盤沈下のようにだんだん沈んでいくという訳ではなく、もともとの骨格や成長過程で沈んで見えるようになっているだけなので、ちょっと意味が違うのかもしれません。
でも、鼻翼基部の地盤沈下も、地面の地盤沈下同様、お顔にとってはちょっと問題です。
では、何が問題なのか具体的に考えてみましょう。
まず、この部分が沈み込んでいると法令線が深く見えます。
若いうちから法令線が目立つ方は、たるみの問題よりこのことに原因がある可能性があります。
また、この沈み込みによって相対的に口元が前に出て見えることもあります。
さらにこれはあくまで印象の問題ですが、鼻柱基部が陥没していると何となく野卑な、もしくはちょっと意地悪そうな印象に見えてしまうことが少なくありません。
ですから、鼻柱基部の沈み込みがゆるやかになると、それまでよりちょっと上品でやさしい口元になります。
ちなみに韓国では、そういった理由もあってこの手術のことを「貴族手術」と呼ぶそうです。
貴族が本当に上品な顔をしているのかどうかは別にして、ちょっと面白い呼び方ですね。
さて、この鼻翼基部の凹みはどうしたら緩和できるのでしょうか。
単純に考えて、埋まりこんでいる鼻翼を押し上げるために、鼻翼の下に何かを入れるとよさそうです。
実際その通りで、この治療のために、鼻翼基部の付け根にヒアルロン酸や脂肪、軟骨、シリコンといった様々なものを入れます。
一番簡単な方法はヒアルロン酸などのフィラー(注入材)です。
でも、ヒアルロン酸自体とても軟らかいゲル状の素材なので、鼻唇溝の凹みは埋めることが出来ても、鼻翼自体を持ち上げることは困難です。
最近では、架橋構造(ヒアルロン酸分子同士の結びつき)が強い、硬くしっかりしたヒアルロン酸もあり、これまでのヒアルロン酸に比べればかなりしっかりと鼻翼を押し上げることが出来ます。
ただし、鼻翼は鼻筋や上唇鼻翼挙筋などの筋肉の影響で絶えず動く場所であるため、その影響で次第に注入したヒアルロン酸が周囲に押しやられてしまい、なかなか効果が持続しません。
脂肪も同じ理由で、鼻翼を押し上げる力が固形物に比べると弱く、またほかの部位に注入した場合より吸収されやすい傾向にあります。
鼻翼基部を持ち上げられず鼻唇溝だけが膨らむのでは、法令線のしわのケアにはなっても鼻翼基部の地盤沈下の変化にはなりません。
本当の意味で変化させるためには、やはりしっかりとした材料で鼻翼基部自体を持ちあげる必要があります。
そのために一般的に使用しているのはシリコンプロテーゼやゴアテックス、耳介軟骨などです。
このうち、耳介軟骨は、自家組織という安心感はありますが、両側の鼻翼基部から鼻唇溝にかけてを全体に持ち上げようとすると、けっこうなボリュームが必要になり、その確保が大変です。
とはいえ、この手術のために大きな軟骨が採取できる肋軟骨を使うのはちょっとやりすぎです。
耳介軟骨でも、両側の耳介から採取すればけっこうなボリュームになるので何とかなりますが、後述するように人工物でも手術できる場所なので、なんとなく勿体ない気がしてしまいます。
鼻中隔延長や鼻尖形成など、自家組織でないと難しい鼻の手術は他にあるので、美容外科医としては、そのために残しておきたいと考えてしまいます。(ただのおせっかいかもしれませんが。)
私自身はシリコンプロテーゼをよく使用しています。
以前はシリコンブロックから削り出して作っていたのですが、最近は鼻翼基部専用のプロテーゼがあり、それも多様な形とサイズが揃ってるので、その中からその方にあったものを選んで使用しています。
もちろん、さらにぴったり合うように形の微調整はします。
鼻腔内から入れることも可能ですが、主には口腔内から入れています。
歯茎のちょっと上方の粘膜をほんの少し切開すれば挿入できます。
粘膜は伸びるので大きな切開は必要なく、結構なサイズのプロテーゼを入れる場合でも切るのはせいぜい1センチくらいです。
この手術のポイントは、鼻唇溝だけでなく鼻翼直下までスペースを確保し、鼻翼基部をプロテーゼで押し上げることです。
先ほどもお話しした通り、鼻翼の外に入れるのでは、法令線のケアにはなっても、鼻翼基部の陥没の修正にはなりません。
それには、正確な剥離と術直後の固定が必要になります。
そのためにプロテーゼを上顎骨にスクリューで固定する方法もあるのですが、そこまでしなくても、周囲の癒着と被膜形成によってプロテーゼが安定するまでの一定期間、内と外から固定すれば十分であると考えています。
最後にこの手術の欠点(リスク)についてお話ししておきたいと思います。
その一つは、鼻翼がプロテーゼで押し上げられる際に、外側に広がって見えてしまうことがあることです。
また、それほど多くはありませんが、鼻翼自体のふくらみ(丸み)が強調されてしまうこともあります。
それ以外にも、鼻翼周囲の筋肉の動きが制限され、笑った際などの表情に多少のぎこちなさを感じることもあります。
表情については時間とともに、そのぎこちなさが緩和することが多いのですが、前者の二つについては何らかの対策が必要です。
具体的には、外に広がることに対しては、左右の鼻翼を引き寄せるように鼻翼の中に糸をかけます。
また、鼻翼自体のふくらみに対しては、場合によっては鼻翼縮小や鼻中隔延長が必要になることもあります。
ただし、こういった治療を行いたくない場合、最悪、プロテーゼを抜去してしまえば少なくとも元の状態には戻ります。(できる限り、避けたい事態ですが。)
こういった事態を避けるため、カウンセリングの段階でシミュレーションソフトなどを用いて、できる限り詳細に、術後に起こりえる形状の変化についてはお伝えするようにしています。(鼻翼自体の硬さや基部の内部の状態など様々な条件で結果が変わるため、予測が難しい部分もありますが。)
すこしマニアックな手術ですが、適応がある方に行うと本当に雰囲気がよくなり、とても喜んでいただけます。
一度ご相談にいらしてみませんか。
鼻翼基部プロテーゼ(貴族手術)について詳しく知りたい方はこちら“ FL(頬+頸)-011 究極のシミュレーション!? PART1 修正手術について
ヴェリテクリニックの大きな特徴の一つは、他院の修正手術が多いことです。その日カウンセリングにいらっしゃる方の半数以上が、修正のご相談ということも珍しくありません。
修正にもいろいろあって、気の毒になるくらい不自然になっている方もいらっしゃれば、特に不自然という訳では無くても、以前の手術の結果に物足りなさを感じていて、もっと大きな変化を望んでいらっしゃる方もいます。
物足りなくてもっと・・・ という方の治療には、それほど困ることはありません。もちろん、ある程度限界があるのは事実ですが、より良くなるために何かしらの治療をさせていただけると思います。
修正手術で一番厄介なのは、やりすぎてしまっている状態を戻したいというケースです。やりすぎてしまっているといっても、単にシリコンプロテーゼで鼻が高くなりすぎているくらいだったらそれほど問題はありません。今入っているプロテーゼを抜去して、それより小さいものに入れ替えるだけで済みます。こういった、何かを入れてサイズや形を変えた治療の後の修正は、それほど難しくありません。例えば、鼻先を前や下に伸ばす鼻中隔延長という手術は、自家軟骨を鼻先に移植する治療で、かなり手間のかかる高度な手術ですが、気に入らなければほぼ元通りに戻すことも可能です。
骨セメントを用いた額形成なども、多少手間と時間はかかりますが修正可能です。
何かを入れる治療で意外とシビアなのが、フィラー治療(注入療法)です。フィラー治療とは、ヒアルロン酸などを注射で注入して形状を変える治療です。
注射だけで治療が終わるもっとも簡単な美容外科治療のひとつですが、これがちょっと曲者です。以前のブログで、フィラーは吸収されるものが良いとお話ししましたが、吸収されないフィラーを注入して希望していない形になってしまうと、シリコンなどの固形物と違って、取り除くのが非常に困難です。
形だけの問題ならまだしも、アレルギー反応を起こしてしまうと、一生これに苦しめられることにもなりかねません。30年以上前に顔や手に注入されたシリコンジェルのアレルギーで、いまだに苦しんでいる患者さんもいます。最近でも、海外美容ツアーなどで得体のしれないフィラーを注入されて、取り除けずに困っている方が結構いらっしゃいます。
目の周囲の手術もやりすぎてしまうと少し厄介です。たとえば、目頭切開で目頭が開きすぎてしまった場合、蒙古ひだ形成という蒙古ひだを作る手術を行います。ただし、完全に元のレベルまで戻る訳ではありません。
特に、内田法などの皮膚切除を伴う手術の後の修正では、半分も戻りません。ただし、全く歯が立たない訳ではなく、最近は下まぶたの皮膚を利用する手術でさらに大きく戻すことが出来るようになりました。(手間と時間はかかります。)
もうひとつ、目で厄介なのは、全切開などの切る二重の手術で幅を広げすぎているケースです。以前は「一度切開法で広くしすぎてしまった二重は狭くできない。」と言われることもありました。(最近でも、そうおっしゃるドクターがいるようです。)ただしこれも、手間はかかりますが、脂肪移植などを組み合わせることで、最近は結構きれいに戻すことが出来るようになりました。
サイズを小さくするタイプの手術のやりすぎの修正には、非常に困難なケースが多く存在します。サイズを小さくする手術とは、たとえば骨切りのような小顔手術や脂肪吸引などの痩身治療です。
小さくするということは、元々そこにあったものをとってしまっている(減らしてしまっている)ということなので、当然、簡単に元通りにという訳にはいきません。たとえば、脂肪吸引で脂肪を取りすぎてしまった後の凹みや癒着、でこぼこは修正が非常に困難です。また、エラなどの骨を削りすぎてしまった後の修正も大変です。
ただし、こういった修正も技術の進歩により、以前に比べればかなり対応できるようになりました。たとえば、脂肪吸引後のでこぼこや凹みに対しては、超音波を用いた吸引(ベイザー脂肪吸引)や、コンデンスリッチファット注入(脂肪注入)などを用いて、かなりきれいに修正できるようになりました。

骨の削りすぎに対しても、事情が変わってきました。以前はフィラーやシリコンプロテーゼによる修正くらいしかできず、自然な形状という意味では限界がありました。それが、最近では3DCTのデータから3Dプリンタで骨格モデルを製作することで、削りすぎてへこんでいる部分にぴったり合う形状の骨セメント(骨の代わりになる材料)を作り、骨の自然な形態を再生することができるようになりました。
そういう訳で、こういった「小さくするタイプのやりすぎ症例」についても、以前に比べれば、取り返しのつかないケースは減っていて、何かしらの修正手術を行えるケースが増えています。
でも、そうでない治療も存在します。つまり、取り返しがつかない状態ということです。その代表的な手術の一つが「鼻翼縮小」で小鼻を小さくしすぎてしまっているケースです。鼻翼縮小は、基本的には小鼻の一部を切除することで小さくする治療です。(糸を入れ小鼻を寄せるだけの治療もあります。)日本人には、小鼻が目立つことを気にする方が多くいらっしゃいます。
でも、意外と小鼻の大きさ自体に全ての原因があることは少なく、鼻柱が短いことや、アップノーズ、鼻翼の厚み、鼻翼の縦の長さ、鼻孔縁(鼻の穴のカーブ)の形態など、他に原因があることが少なくありません。こういった方が鼻翼縮小だけを行っても、当然期待しているような効果が出ません。効果が出ないだけならまだしも、切除しすぎると非常に不自然な形になってしまいます。
鼻翼を必要以上に切除しすぎてしまうと、鼻翼の持つ自然な丸みが無くなり、下に引っ張られたようなひきつれた小鼻になってしまいます。鼻尖との境界も不明瞭になり、却って鼻先が大きく見えてしまうことも少なくありません。鼻の穴も不自然なほど小さくなってしまい、中には小指も入らないほど小さくなってしまっている方もいます。
鼻に限らず言えることですが、顔は全体のバランスで成り立っているものなので、一つの治療に拘りすぎて良いことはありません。ですから、一度に限界を超えて鼻翼縮小をするのは論外ですし、一度鼻翼縮小を行い、思ったような効果が出ない場合、他の治療に目を向けるべきです。ですが、初めての治療なのに、とにかく限界まで小さくしてほしいと希望される方は結構多くいらっしゃいますし、一度鼻翼縮小を行って期待した効果が得られない方の多くは、鼻翼を切った量が足りていないと考え、さらに鼻翼を小さくすることを希望されます。できあがった形が気に入らない場合に手術前の状態に戻せる治療であれば、ご本人の希望どおりに手術してもいいのかもしれません。でも、一旦切除した鼻翼は二度と戻りませんので、小さくなりすぎて不自然になっても一生そのままです。これが、骨などの見えない部分であれば、先ほどお話ししたように、別の材料で作ることも可能ですが、小鼻のように見える部分はそういう訳にもいきません。
交通外傷などで明らかに変形や欠損した状態なら有茎皮弁なども考えられますが、こういった治療で自然な形態の小鼻を作るのには限界があります。ですから、どんなにご本人が強く希望されても、ドクターが、それによるリスクや術後の状態を正確にお伝えして、そういう無理な手術を止めるべきなのですが、手術自体はただ切り取るだけの簡単な治療であるため、安易に引き受けてしまうドクターやクリニックがあるのも事実です。
つづきは「究極のシミュレーション!? PART2 一度体験してみませんか?」へ
“ 究極のシミュレーション!? PART2 一度体験してみませんか?
ただし、ドクターがどんなに止めても、「どうしてもやってほしい」とねばる方もいます。当院にいらっしゃる方の中にも、そういった方が少なくありません。
その場合は、シミュレーションなどで術後の形態をお見せして、「こんなに不自然な鼻になるよ。」とやめるよう説得を試みます。でも、シミュレーションのバーチャルな画像ではいま一つ実感が湧かないのか、それでもあきらめない方がいらっしゃいます。我々がお断りしても多くの場合、引き受けてくれるクリニックを捜して、結局手術を受けてしまいます。
どんなに不自然になってしまっても、ご自分が満足されていれば良いのですが、たいていの場合やった後に、「こんなはずではなかった。」と後悔されます。手術前に、もっとリアルに術後の状態を知ることができれば、こんな不幸を避けられるかもしれません。
という訳で、最近新たに試みていることがあります。近頃は、頬骨やエラといった顔の骨の手術をする際、3DCTで立体データを作ることで、実際の骨と全く同じ形、サイズの模型を作ることができます。

ヴェリテクリニックでは、骨切りや額形成といった輪郭の手術の際に、こういった立体模型を制作してくれる会社(SONYの系列会社です)にお願いして、骨格模型を作っています。より精度の高い手術をするために、非常に有効な手段です。この技術を用いて、鼻の立体モデルを作っていただきました。

次のは中身ではなく表面の形状のモデルです。このモデルは、骨格模型のように硬い素材ではなく、人間の皮膚に近い弾力のシリコンでできています。
いろいろな種類のシリコンで試作して、感触や弾力が人間により近いものを選んだので、色こそ違いますが、触ると本当に人間の鼻の感触です。(写真では、この部分が伝わりにくくて残念です。)

どうしてこういった素材で作るかといえば、これを用いて実際と同じように手術を行いたいからです。実際の手術と同じようにデザインし、同じメスを使って切除すると本当に術後の形態を作ることが可能です。上の左の写真には、既に鼻翼縮小のデザインが描かれていますが、これに沿って切開したのが下の写真です。
両横に載せてあるのは、切り取った部分ですが、実際の手術で切除した鼻翼の皮膚もこんな感じです。残った断端をつなげると手術の完成です。

今回お見せする写真はピンで固定しているだけなので形が分かりにくいのですが(すみません)、最終的にはシリコン用の接着剤でつないで本当の術後と同じ状態にできます。
まさに、究極のシミュレーション!
そこまで言うのはちょっと大げさかもしれませんが、本当にリアルに再現できます。「そこまでする必要があるの?」という声がどこからか聞こえてきそうですね。でも、後戻りできない治療だけに、手術前の段階で、手術した後の状態を知ることができるのは本当に有意義であると思います。
ちなみに、鼻翼というのは立体的な構造物であり、人それぞれ大きさや形も大きく異なります。ですから、どの部分をどの程度切除したらどういった形になるのかということを正確に予測するのは、我々ドクターでも難しく、経験を要します。そういう意味では、このシリコン製モデルは若いドクターの手術の練習用にも役立つかもしれません。それと、鼻翼の治療に限らず、ご自分の鼻を客観的に見て評価したいというマニア(?)の方にもお勧めです。



先日カウンセリングにいらっしゃった方がこんな愚痴をこぼされていました。
「ここに来る前、別のクリニックにカウンセリングにいったら相談内容と全然違う部分の治療の話をされてとてもいやな気分になった。」
どうやら二重整形の相談に行ったのに、顎の治療を進められたようです。
これは同じ美容外科医として非常に耳の痛い言葉です。私も確かにカウンセリングをしていると、ご相談の内容と全く違うパーツで 「ここが変わるととても素敵になるのに」 と伝えたい衝動に駆られる事はよくあります。特にそれが相談内容よりもっと簡単に出来ることだったりすると、お話しするべきか本当に悩みます。
ただし、ご本人が気にされていない部分を指摘する事は新たな悩みを作ってしまう事になりかねず、その方のためになることとは限りません。 一般医療と違って美容外科には明確な診断基準や治療の適応というものはありません。

その方以外の人にとっては全く気にならない些細なことでもご本人が気になればそれは手術の適応になる場合もありますし、逆に周囲の方のほとんどが指摘したくなるような事もご本人が気にならなければ全く手術の適応にはなりません。
そういう視点に立つと、先ほどのケースではご本人が希望されない限り、余分な事をお伝えする事は原則あってはならないことだと思います。
でも、美容外科にいらっしゃる方の中にはご自分でもはっきりとこの治療がしたいと決まっているわけではなく、ただ漠然と美しくなりたいと思ってご来院される方も少なくありません。
もしも、どんな治療をすれば良いか分からず悩んでいる方がいらっしゃれば、カウンセリングの予約の時や当日でも良いので、その事を伝えていただけるととても助かります。「おまかせで」といわれると気合が入る寿司屋の親方と一緒(?)で、そういったカウンセリングの場合、ドクター側も多分いつも以上に力が入ります(少なくとも私は)。

「どうすればその方の個性を生かして、今以上に可愛く(美しく)できるか」
それをあらゆる角度から真剣に考えてカウンセリングに臨むので、通常より少しお時間が必要になると思います。ですからカウンセリングの予約の段階でそういった希望を伝えていただけると、余裕を持った予約の枠をとることができて助かります。
そして、こういったカウンセリングではご自分では想像もしていなかった内容になる事も多いので、できればコンピュータによるシミュレーションを用いて言葉だけでは伝わらない部分を映像で確認して頂く方が良いです。お話の段階ではあまりにも突拍子のない話に聞こえて戸惑った表情をされている方でも、その変化をシミュレーション画像で確認すると大抵納得されます。
もちろんこんなおおげさな話で無くても、通常のカウンセリングの最後に 「他にすると良い治療はありますか?」 と聞いて頂くだけでワンポイントアドバイスは十分できると思います。それがそれまでのカウンセリングの内容よりお勧めの治療だと、ついつい話が長くなってスタッフに叱られる事が多少問題ですが!
「○○という手術をしてください。」
「○○法でお願いします。」

こんなふうに手術する部位や術式をご自分で決めてカウンセリングにいらっしゃる方は少なくありません。 ドクター側としては、ある意味楽なカウンセリングであるとも言えます。
「分かりました。では手術日はいつにしますか?」なんて話を進められればこんなに簡単な事は無いのですが、残念ながらそういう訳にも行きません。
どこをどんなふうに変えたいのか。どんな雰囲気になりたいのか。こういった情報をなるべく具体的にお聞きしないと、場合によっては大変なことになってしまいます。
たくさんの情報を集めながらカウンセリングを進めていくと、実は最初にご本人が決めていらっしゃった手術では希望されるイメージにならない、つまり手術の適応が違っていることが判明するケースが非常に多くあるからです。
美容外科での手術後のトラブルや不満足な結果のかなりの部分はこういった「手術適応の間違い」によって生じます。 つまり手術の技術的な問題ではなく、目指すゴールにはもともとどんなに頑張っても到達しない手術を選択してしまっていたという事です。これはドクターと患者の双方にとって、ある意味もっとも不幸な結果と言えます。

最近はカウンセリングにいらっしゃる前に、雑誌やインターネットの情報を元に非常によく勉強されてくる方が増えてきました。従来であれば一から説明しなければならない事をかなり省略できるのでカウンセリングする側にとっては非常にありがたい面もありますが、「知っている」=本当に「理解している」と決めて話を進めてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
特に治療の適応については、別の方に当てはまる事が自分にも合うとは限りません。最近はクリニックのホームページなどにモニターのビフォーアフターの写真がたくさん掲載されていますが、自分では似ていると思っているモニターも、適応となる手術となると全く違うという事は少なくありません。自分では気がつかない、もしくは大した問題にはならないと思っていた僅かな差が、手術の適応を大きく左右することもあります。
それ以外にも、実際の手術手技や術後経過など、よくよく話を聞いてみたらカウンセリング前にイメージしていたものと全然違っていたなんてことは日常茶飯です。知っていると思っていることも一旦心の奥にしまってゼロから話を聞かれたほうが、クリニックに足を運んだ意味が出ると思います。だからといって、一方的に話を聞けばいいというものでもありません。
カウンセリングを受ける上で一番大切なのは、自分のなりたいイメージ、目指すゴールをできるだけ具体的にドクターに伝える事です。もしそれが言葉では表現しにくいものであれば、より具体化するためにイラストに描いたり、イメージに近い方の写真を持参するのも良いと思います。(恥ずかしいなんて考えるのはナンセンスです!)
もちろんイメージ以外の情報を伝えることも大切です。これは自分が許容できる手術のレベルや術後に休める期間といった情報です。これも出来る限り具体的に伝える努力が必要です。例えば手術のレベルであればプチ整形のレベルまでなのか、少しくらいなら切開する事も可能なのか、どんな手術をしてでも目標に近づきたいのかなどです。 術後についても、どの時期にどの程度脹れが引いていればいいのか、メイクすれば隠せる程度で良いのか、一緒に暮らす家族に分からないレベルまででないといけないのかなど、とにかく細かく伝えるに越したことはありません。

どんな治療をすると良いのかを考えるのはその後です。限られた時間で上手に伝えられるよう、カウンセリング前に出来る限りこれを整理し、まとめておくことは非常に有効です。
もちろん、我々の側でも、そういった情報を正しく理解する努力が必要です。 そのためには、じっくり時間をかけてカウンセリングを行うのはもちろんですが、その方の伝えたいイメージを本当に我々が理解しているかの確認のために、シミュレーションを駆使して治療の結果を画像で見ていただくなど様々な工夫が必要です。
こういったドクターと患者双方の努力で同じゴールを見据え、これを目指すことが、良い結果への第一歩につながると思います。
▼名古屋院 李院長のカウンセリング
「限界LOVERS症候群」に罹っていませんか?

ヴェリテクリニックにカウンセリングにいらっしゃる方で、こう希望される方は少なくありません。
初めて手術される方がこんな事を言うのは珍しく、その多くは別のクリニックで行った治療の修正の相談の方です。多分、前回の手術の結果が物足りなくてこうおっしゃっているのだと思います。
別のクリニックのドクターから、「自分の所ではこれ以上は無理だけど、ヴェリテならあなたの言っている「限界」までやってくれるかも。」と紹介(?)されて来院する方も少なくなく、そういった方の我々に対する期待の大きさは半端ではありません。
こういった場合、ご本人の希望を叶える事が我々の仕事ですので、基本的には可能な限り努力して「限界」まで頑張って治療を行うべきであると思います。
例えば、二重の幅にしても鼻の高さにしても、技術的に可能な限界ギリギリまで行ってしまうと見た目にかなり違和感のある状態になってしまう事が少なくありません。
回りくどい言い方をしましたが、簡単に言えば「不自然」になるという事です。また、どこまでいけば「不自然」になるのかは周囲のパーツとのバランスによっても変わってくるため、ある方にとっては「自然」でも、別の方にとっては「不自然」になるということもあり得ます。
カウンセリングにいらっしゃる方のキャラクターも千差万別で、
「周りの方が変に思うかどうかなんて一切気にしませんから、とにかく限界までお願いします。」
というツワモノの方もいれば、
「あんまり不自然に見えるのは嫌だけど、もう一回手術してまた物足りないのはもっと嫌だから、ちょっとやりすぎくらいでも大丈夫です。」
というやや積極派の方や、
「自然に見えるレベルでお願いします。」
という消極派(というよりこれが普通かも)まで、同じ「限界」といっても一概にこれといった基準は無く、それぞれの方で違ってきます。
「とにかく限界まで・・・」
と言う方も、その結果がイメージできている上で治療を受けているのであれば何の問題もありませんが、それを理解できていないままに治療を受けるのは問題です。特に1つのパーツにこだわりすぎている方は、その先にある本当のゴールを理解していない場合が多くちょっと危険です。
こういった方は、 「ここさえもっとこうなれば」
とそのパーツに対する執着が強くなってしまい、その部分を限界まで変える事が目的化してしまっている事が少なくありません。
そして、その「ここさえ・・・」は、多くの場合勘違いや認識不足から生じています。
例えば、二重の幅を広げれば広げるほど目がぱっちり大きく見えると信じている方は少なくありませんが、これが間違いである事は以前お話しさせていただきました。それ以外にも、一般的に「団子鼻修正」とか「鼻先縮小」と呼ばれる手術で鼻先の幅を狭めても、それだけで鼻先を小さく見せるには限界があることや、眉間の高さを無視して鼻根だけ高くしても不自然に見えてしまう事、骨格や皮膚のたるみを無視して脂肪吸引を行っても小顔に見えない事(逆に大きく見えてしまう可能性もある)など挙げればきりがありません。
こういった限界まで変えることが目的化してしまっている方を、「限界LOVERS症候群(ゲンカイ ラバーズ シンドローム)」と勝手に命名し呼んでいますが、こういった方にそれが「勘違い」であることを術前に説明するのは非常に大変です。それでも最近はシミュレーション画像を用いて「限界」の先に何があるのかを事前にお見せして無意味な手術を避ける事や、本当はどんな治療が必要なのかを一緒に模索することが出来るようになりました。
美容外科の治療の選択権は当然ご本人にあります。
どんなに周りが不自然と思う変化も、ご本人がそうなる事を望んでいて納得済みであればあまり問題はありません。ただし、どんな結果になるのか分からないまま(もしくは勘違いしたまま)手術を受けることは避けるべきです。
不幸にして「勘違い」のもとに治療を行ってしまった方も、それが戻せるものであれば軌道修正すれば済みます。一番困るのは、その軌道修正が出来ない場合です。
美容外科手術の中には、元に戻せるもの(可逆的な治療)と戻せない治療(不可逆な治療)があります。それ自体が戻せない治療も、別の手術や周囲のパーツの治療を行う事で修正出来ることは少なくありません。ただし、戻せない治療を限界までしてしまうとそういった治療ではカバーしきれない場合もあります。
そういった訳で、戻せない治療を限界まで行うということは、その結果に大きな責任がある事をドクターサイドが自覚する必要がある事はもちろんですが、治療を受けるご本人にも強い信念と覚悟が必要です。
「限界LOVERS症候群」に罹っている方の処方箋として一番効果的なのは限界の先に何が待っているのかを身をもって体験していただく事であると思います。
どれだけ「希望する手術をしても不自然になってしまうだけだ」と説明しても、「限界LOVERS症候群」の方には馬の耳に念仏です。それに我々が「ここまですると不自然でおかしく見える」と思っている状態も、場合によってはご本人にとって満足できるものである可能性もあります。どんなに奇抜なファッションも、好きでポリシーをもってやっている方は周囲の目を気にすることなんて無いと思います。(さすがに来日したレディーガガのファッションにはびっくりましたが(;^_^A)それと同じで、美容外科の治療にも唯一の正解というものは無いため、ご本人が納得して満足していれば多少の不自然さは問題ないと思います。
ただし、こういった極論が成立するのは、その治療が後戻りできる場合に限ります。仮に限界の先にあるものがご自分が思っていたものと違っていたとしても、戻せる治療であれば正しい道に進むために必要なステップだったと割り切れるのかもしれません。
例えば、既にシリコンで鼻をかなり高くしている方がいらっしゃったとします。この方が、もっと鼻が高くなればさらに奇麗になると思ってシリコンを入れ替えたら自分で見ても不自然な状態になってしまったというのであれば、また元の高さのシリコンに戻して他の治療で鼻を美しくする事を考えれば良いと思います。
一度限界を超えた事によって、その先に答えが無いことを身をもって体験でき、本当に必要な治療を考えるきっかけになった、つまり軌道修正ができたという事です(もちろん、これをシミュレーションなどでの擬似的な体験で確認できれば理想的ですが、重症の「限界LOVERS症候群」の方ではなかなかそういう訳にもいきません)。
美容外科の治療は、以下の4つに大別できます。
ほとんどは1または2で、全く手に負えない、つまり4ということはほとんど無く、何らかの修正の余地はあるのですが、その治療には非常に大きな労力を要することは少なくありません。
ヴェリテクリニックは「修正治療」を看板に掲げているので、こういった方の治療はある意味やりがいのある分野なのですが、ご本人にとっては精神的にも身体的にも負担が大きく、避けれるものであれば避けるに越したことは無いと思います。
特に注意したいのは皮膚を切除するタイプの治療です。なぜ注意が必要なのかを単純にお話すれば、「切り取ってしまったものは戻せない。」という事です。この代表的なものを挙げると、鼻であれば鼻翼縮小という小鼻の皮膚を一部切り取って小さくする治療がそれにあたります。
目では、皮膚を切り取るタイプの目頭切開(内田法や弧状切開)が代表的ですが、切開法の二重の手術でも広い幅を作るために皮膚を切除しすぎると戻すのはかなり困難になります(ちなみにヴェリテクリニックでの目頭切開はZ形成と呼ばれる皮膚を入れ替える方法で行っているので、元に近いところまで戻せます)。それ以外では、上口唇短縮や下眼瞼切開なども切除しすぎてしまうと戻すのは困難です。
特に、目頭や鼻翼(小鼻)は「限界LOVERS症候群」に陥りやすい所です。中でも鼻翼は小さくしすぎてしまうと鼻全体のバランスもおかしくなってしまいやすい部分で注意が必要です。小鼻の大きさや鼻の穴の見えるのを気にして小鼻を小さくする手術をされる方は少なくありませんが、そういった方すべてが単純に鼻翼を小さくするだけで小鼻の形がきれいに整う訳ではありません。鼻翼の見え方には、鼻柱の長さや角度、鼻翼基部(鼻翼の付け根)の高さ、鼻孔縁(小鼻の下縁)のカーブの形状、鼻翼そのものの厚みなど様々な要素が複雑に関与しています。
個人的には美容の手術の中でも難しい治療の一つを思っています。特に一度鼻翼縮小を受けている方は、物足りないからといってさらにもっと小さくする事を安易に考えるのではなく、小さくしたらどんな形になるのかシミュレーションなどで確認することをお勧めします。
鼻翼だけでなく、どんな治療でも一度手術を受けて何か物足りないと感じている方は、単純にさらに前に進むのではなく、何が足りない原因なのかを慎重に考えることをお勧めします。戻せない治療をやりすぎてしまい、思ってもみなかった結果になって途方に暮れている方も、修正の方法には様々なアプローチがあるのであきらめず一度はご相談ください。
” 二重の幅は何ミリがベスト? PART1~「〇ミリの二重にしてください」
二重整形のカウンセリングでこんな事をおっしゃる方が増えてきています。
どうしてその幅にしたいのかを問うと多くの方は、
「今の二重がどのくらいかは分からないけど、雑誌に〇ミリの二重がベストと書いてありました。」
「雑誌のメイク特集で気に行った子の二重が〇ミリと書いてあったから。」
なんて答えが返ってきます。
確かにご持参してきた雑誌も拝見させていただくと、写真の横にこの目は〇ミリ、この二重は〇ミリ、と説明がついています。でも、どの部分を測った長さなのかの説明は大抵ありません。
「二重の幅」と言うと一般的には、目を閉じたときの瞼縁(まつ毛の生えている部分)から二重が折りかえるラインまでの長さを言う場合と、目を開いている時の瞼縁と二重のラインの間の長さを言う場合があります。手術の話をしているわけではないので、この場合皆さんが使う「二重の幅」は後者の目を開けている時の瞼縁と二重のラインの間の長さを言っている場合が多いのではないかと思います。
でも、この「二重の幅」はちょっと曲者です。
様々な条件で見た目の距離が変わりますし、同じ距離でも他の条件で雰囲気は全く変わって見えます。つまり、二重の幅だけ一緒にしても、写真にでている方と同じイメージの二重になるとは限らないのです。
まず、現状でとりあえず二重という方は、鏡の前でご自分の目を見てください(もちろん正面です)。

なるべく、顎を引きすぎたり出しすぎたりせず、視線を水平に保つ要領でご自分の二重の幅を確認してください。
ここから軽く顎を引いて、再度二重の幅を確認してみましょう(ちょっと上目づかいの感じです。)。
如何ですか。少し幅が狭く見えますよね。
では逆に少し顔を上げて見ましょう。ちょっと顎を前に突き出すイメージです。
どうですか。二重の幅が広くなりましたね。
そうです。ちょっとした顔の角度で見た目の二重の幅は大きく変わります。
そして、特に女性の場合、普段鏡でご自分の顔を見る際に少し顎を引いて上目づかいに見ている方がかなり多くいらっしゃいます。これだけで、本来の二重の幅より狭く見えてしまいます。
人と話す時も道を歩いている時も、ずっと上目づかいという方であれば、この顎を引いた時の幅を本来の二重と言っていいと思いますが(そんな方いませんよね)、そうでなければやはり視線を水平に保った状態で二重の幅を評価しなければいけません。そうでないと、自分ではちょうど良いと思っている二重が、人から見ると恐ろしく幅広の二重だったりという事になりかねません。
実際にカウンセリングにいらっしゃる方の中にも、このパターンでご自分の二重の幅を過小評価している事が良くあります。特に、手術で二重を広げたけどまだ満足できないという方に、このケースが多く見られます。中には結構な幅の二重なのに、自分の二重を奥二重と思っている方もいらっしゃいます。
雑誌などに載っているモデルやタレントルさんの二重を参考にする場合も、どんな顔の角度で撮った写真かを正確に評価しないとあまり意味がありません。「女優の〇〇さんくらい二重の幅を広くしたいんです。」と言う方の二重がすでにその女優さんより広いなんてこともよくあります。
まぶたの厚みが違うだけで二重の感じは全く違うものになってしまいます。それ以外にも、眉毛との距離や眉骨の高さ、目頭の形、目尻の高さなど、さまざまな要因で二重のイメージも違ってきます。

その中で特に影響の大きいものの一つは、「目の開き」です。最近の言葉に置き換えると「眼ヂカラ」です。この「目ヂカラ」が違うと目の印象は180度違うものになってしまいます。
例えば、憧れの幅広平行二重も「目ヂカラ」の無いまぶたと組み合わさると、ただの眠たい目になってしまいます。
たちの悪い事に、頑張って幅を広くすればするほど目が開きづらくなってしまう事も多く、余計に眠たげな眼になってしまいます。
手術の目的は、幅〇ミリの二重を作ることではなく、あなたのなりたいイメージに出来る限り近い二重を作る事です。そのためには、単純に「〇ミリの二重」というのではなく、もっと具体的になりたい二重の形や目全体のイメージをドクターに伝える必要があります。
そのためには、希望に近い方の写真を持ってきたり、シミュレーションを用いることで、ご自分の中にあるイメージをできるだけ具体的な形でドクターと共有出来ると理想的です。
美容の治療は病気の治療と違い、それぞれの方で治療のゴールが異なります。ですから、ドクターがその方のゴールを理解することは、手術そのものと同じくらい大切です。
そのためには、恥ずかしがらず遠慮せず、どしどし携帯画像や雑誌の切り抜きなどを持参して、出来る限り具体的になりたいイメージを伝えましょう!
二重整形について詳しく知りたい方はこちら
実は「二重の幅を〇ミリ」という場合のこの幅には、二種類あります。

眼を開けている時の二重の幅
つまりまつ毛の生えている位置から二重のラインまでの幅
まつ毛の生え際から眼を閉じた時の二重のライン
つまり手術で二重のくせを作る部分まで
一見、そのどちらかが決まればおのずともう一つの幅も決まりそうですが、そう簡単にはいきません。それどころか、前者の開眼時の二重の幅と後者の目を閉じた時の二重の幅には、全く相関はありません。
つまり、目を閉じたときの二重のラインまでの幅が10ミリある方の中に、目を開けた時の二重の幅が3ミリになる方もいれば7ミリになる方もいるという事です。
これは主に眼を開く力の差が原因です。


二重というのは、基本的に目を閉じている時には薄いラインが存在するだけです。目を開けていくと、それに伴って皮膚が折りたたまれて二重が完成します。
その際、眼を開ける力が強い方は、その分二重がしっかりと深く折り込まれるので、皮膚の重なる部分が大きくなり、その分見た目の二重の幅が狭くなります。
逆に、目を開く力が弱いと皮膚の重なりが浅くなり、見た目の二重は広くなります。
つまり、簡単に言えば眼力があるほど二重が狭くなり、眼力が弱いほど二重が広くなるという事です。
これ以外にも、眼窩脂肪の量、皮膚や眼輪筋の厚みの違いで二重の幅は変わります。
手術の際に「眼を閉じている時の二重のラインを何ミリにしたい」というリクエストをいただいても、あまり意味はありません。
それに比べて「開眼時の二重の幅を何ミリにしたい」という希望については、余程無理な幅で無い限り、とりあえず手術で作ることは可能です。もちろん、顔の角度や眉毛の挙上の有無などでいくらでも幅が違って見えるのはありますが、この事を理解していただいた上で、基準となる顔の位置を決めて希望の幅を作る事は出来ます。
ただし、この場合も二重の幅を一緒にしただけで眼の印象まで同じになる訳ではありません。眼の開き(眼力)があるのと無いのでは、同じ二重の幅でも印象は違います。さらに、全体に瞼が腫れぼったく肉厚な方とそうでない方でも全く印象は違います。二重の腺と眉の間の距離の違いだけでも、その印象は大きく変わります。
鼻や輪郭などの他の美容外科手術と違って、二重の形はブジーという針金のような器具を使って簡単に術後の形が確認できます(ブジーを瞼に押し当てるだけです。)。こればかりは、パソコンの画面上のシミュレーションよりずっとリアルです。
実際の手術では皮膚を切除したり脂肪を取ったりする事もあるので、全く同じという訳にもいきませんが、それぞれの方にとってのその幅の二重が確認できます。
雑誌に理想的と書いてあった幅がご自分にとっては広すぎたり、却って腫れぼったい眼に見える事もあります。雑誌やネットの情報を信じて、いきなり幅を決めて即手術というはお勧めできません。
自分の目に一番合った理想の二重を見つけるため、カウンセリングの際に必ず自分の瞼で確認しましょう。
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