アゴの骨、削るだけで小さくなる? PART2~疑似手術
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アゴ骨切り サカモト君クローンで疑似手術してみました

これまでお話ししたアゴの手術で分かりにくそうなものを、模型を使った疑似手術でお見せしたいと思います。

模型は、例のサカモト君(頭蓋骨模型の事です)の下顎だけのクローンを作って使いました。(石膏で出来ています。)

骨切り前出し

アゴ骨切り

まず、骨切り前出しです。

最初に水平に切ります。こんな具合にアゴの骨が上下二つに分かれます。

アゴ骨切り

横から見るとこんな感じです。

アゴ骨切り

そしてこれを前方に移動します。

アゴ骨切り

これだけなら単純な手術ですが、前にスライドした骨の後方に段差がどうしても出来ます。(斜線の部分です)

横から見ると小さな段差ですが、このあごの骨を切った時にできる切離面は意外と大きいため削ってスムーズにしないと後で気になります。

ですからこれを頑張って削ります。

サカモト君は顎が長くないので中抜きはしていませんが、中抜き手術を行うときは、水平に切るラインが一つ増えるだけでその他はほとんどこれと一緒です。

ただし、上下の骨の大きさの差が大きくなるので、中抜きしてさらに前方へ移動なんてことになると段差もいっそう大きくなり、これをなだらかにするのにとても手間がかかります。

切るよりこちらの方が大変なぐらいですが、ここをしっかりやらないと美しい顎にはなりません。

アゴ骨切り

ちなみに水平骨切りをしたあごの切離面を裏側から見るとこんな感じです。

アゴ骨切り

白くて分かりにくいので点線で囲ってみます。

骨に厚みがあるので、かなり大きな面になっていますね。

アゴ骨切り

例えば中抜きの場合、この下に小さい骨がつながります。これを水色で示してみます。

そうすると、この赤い点線と水色の間が段差になります。

どうです。かなり大きいですよね。ここを頑張って削ってなだらかにしていきます。

骨切り垂直中抜き

もう一つ、垂直の中抜きを模型を使って行ってみました。

アゴ骨切り

水平骨切りの後、下の骨の真ん中を10ミリほど縦に切って抜き、その左右の骨を会わせます。

アゴ骨切り

こう見ると、この形になった下側の骨と上の骨がそのままスムーズにつながりそうすが、実際につなげてみるとこんな具合に段差が出来てしまいます。

当然、最後にこの段差を削って仕上げます。

この水平や垂直の中抜きは、実はまだいくつかのバリエーションがあります。

話が複雑になってしまいますので今回は代表的なものに絞ってお話してきましたが、新たな手法も生まれてきているので、機会を見てまたお話したい思います。

“ FL(頬+頸)-011 理想の豊胸術ってどんなもの?
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豊胸術は、人工乳腺や脂肪などを今のバストに入れるというシンプルな手術で、豊胸術を行う美容外科医の中には、乳房の解剖についてあまり知識のないまま、この手術を行っているドクターもいます。

でも、手術自体の安全性はもちろん、手術後長期にわたってその形態や安全性を保っていくことを考えると、この手術は決して単純なものではなく、実際、わずかな違いが術直後や長期の経過に大きな差となって出てきます。
また、いずれの術式で行ったとしても、定期的な健診によるフォローが必要です。

最近は、乳がんで乳房を失われた方に対して、美容外科手術で用いられるものと同じタイプの人工乳腺を使用した乳房再建術を行うことが増えてきましたし、2013年の7月から保険適応にもなりました。

保険適応となるに際して、学会では、人工乳腺の経過を少なくとも10年間はMRIや超音波を用いて経過観察する必要があるというガイドラインを出しています。

美容目的で人工乳腺を入れた方も同様に、長期にわたった経過観察が理想であると思います。

乳房再建という手術には、がんの術後という厳しい条件の中で健側(手術していない側)に近いバストを作るという難しさがあります。
でも、一般的な美容目的の豊胸術でもそれと同等、場合によってはそれ以上の難しさがります。

それは、そういった豊胸術では、正常(病気のない)バストに施術を行うため、求められるゴールがよりシビアになるからです。

ではこの求められるゴールとは何でしょうか?

もちろん人によってそのゴールは違うと思います。

でもほとんどの方にとって一番大切なことは、どれだけ自然なバストになるかということです。

これは、手術を受けられる方はもちろん、この手術を行う美容外科医にとって永遠のテーマとも言えます。


自然と一言で言っても、それにはいくつかのポイントがあります。

まずは、見た目が自然であること

明らかに人工乳腺の辺縁が浮き出てしまっているケースや、バストの形自体が不自然であるのは、豊胸術ではやはり避けなければならないことです。


次に、感触が柔らかいこと

女性のバストはもともと乳腺組織と脂肪でできています。

脂肪は言うまでもなく、とても柔らかい組織です。

乳腺組織は多少弾力感があるので、特に若い方で乳腺の比率が高い方のバストは多少弾力感が強いのですが、それでも当然カチカチなんてことはなく、それなりの柔らかさはあります。

ですから、バストが柔らかいことは豊胸術で重要なポイントになります。


もう一つは可動性が高いことです。

天然のバストで、それなりの大きさがある方は、そのバストを寄せたり上げたりすることができます。 走ったり跳ねたりすれば揺れますし、体を横にすれば流れるような動きもあります。

ですから、たとえば同じ柔らかさの人工乳腺であれば、動きがないよりあったほうが自然ですし、感触的にもより一層柔らかく感じると思います。

主なポイントを三つ挙げてみました。もちろん細かいところを言えばほかにもいろいろありますが、話が複雑になってしまいすぎないよう、今日はこの3点についてもう少し深く考えてみたいと思います。

豊胸術


豊胸術を行う場合、その方法は主に3つあります。

一つは人工乳腺を挿入する方法、もう一つは脂肪を注入する方法、最後の一つはヒアルロン酸を注入する手法です。

それぞれメリットデメリットがありますが、簡単にそれについてまずは触れてみたいと思います。

この3つの中で手軽なのは当然ヒアルロン酸の注入による豊胸術です。

その手軽さがメリットですが、欠点もあります。

一番の欠点は、徐々に吸収されていって最終的に元に戻ってしまうことです。

一般的には、およそ1年前後で吸収されてしまいます。

バストに注入するヒアルロン酸は、お顔に使うものなどに比べると安価なのですが、それでも片側に100cc程度注入すれば、人工乳腺による豊胸術に近い費用がかかってきます。

それも100ccという量は決して多いわけではなく、カップサイズで1サイズ大きくなる程度です。

ちなみに当院にある一番小さな人工乳腺が100ccくらいです。

さらには、人工乳腺であれば、よほどのことがない限り入れ替えの必要もありませんが、ヒアルロン酸は先ほどお話ししたように1年前後で無くなってしまいますので、かなりもったいない気はします。

最近は、あまり細かく分散させず、なるべく大きな塊(かたまり)でヒアルロン酸を注入することで吸収を遅らせる工夫をすることもあります。

どうして塊で注入した方が長持ちするのでしょうか?

豊胸術


この理由の一つが体積と表面積の関係にあります。

注入したヒアルロン酸はその周囲から徐々に吸収されていきます。

そのため、表面積が大きければ大きいほど吸収が早くなります。

同じ量のヒアルロン酸であれば、細かく分散させるより塊にした方が表面積が小さくなります。

このことを理論的に理解しようとすれば、中学校の数学で覚えたはず(?)の球の体積と表面積を導き出す公式が必要になります。

確か 表面積S=4πr²  体積V=3/4πr³ だったと思います。

これを使って計算すると、例えば8ccを1か所に入れるのと1ccずつ8か所に入れるのでは後者の表面積が2倍になります。 これが27ccであれば3倍、96ccであれば6倍という具合になります。
つまり100ccを1か所で入れるのと1ccずつ分散させて入れるのでは吸収のスピードが6倍違うということになります。

豊胸術


もちろんこれはあくまで理論値ですし、注入されたヒアルロン酸は球というより楕円体になるので、現実はそこまでの差ではありませんが、もっと大きな差になることもあります。

これは、一塊となったヒアルロン酸の周囲に被膜が形成された場合です。 大きな塊となったヒアルロン酸は異物としての反応が強くなるので、少量ずつ注入されたヒアルロン酸より、しっかりとした被膜が周囲に形成される傾向にあります。

この場合、周囲の組織とヒアルロン酸が断絶されるので、数年経過してもほとんど減少しないこともあります。
ただし、こういった被膜に包まれたヒアルロン酸の塊は、時としてしこりのような感触となるのであまり自然ではありません。 特に被膜が厚くなってしまった場合は、かなり固いしこりになります。

つまり、最初のお話の「自然さ」の3つのポイントの一つ、「柔らかさ」の面で劣ります。
どうしてもこの感触が気になる方には、外部から被膜を壊して柔らかくする方法もありますが、それによって吸収されやすくなってしまいますので、痛し痒しといった所です。

私自身は、こういった特徴ををご本人にお伝えした上で、選択いただくことが多いのですが、最近はあまり細かく分散させず、かといって一か所に集中することもせず、数か所に分けて注入することが一番多いと思います。

いずれの方法を用いたとしても、硬い被膜を作ることさえなければ、ヒアルロン酸自体は液体に近い物質なので、感触面では非常に柔らかく自然です。

では、残りの2つのポイントはどうでしょうか?

動きに関しては、注入される場所が皮下や脂肪内であるため、当然そういった自分の組織と一緒に動きます。そのため、自然であると言えます。

形はどうでしょうか?

これについても、大きなしこりを作らない限り、ある一定量までは自然な形になります。一定量と申し上げたのは、ヒアルロン酸でも大量に注入すると結構不自然になるケースがあるからです。

ヒアルロン酸は、液体に近い物質ですから人工乳腺のような固形物に比べると、バストを前方に押し上げる力は決して強くありません。 皮膚に余裕がある方ならいいのですが、そうでない方に大量にヒアルロン酸を注入すると、前方に大きく膨らまない分、横方向に広がっていきます。

最近、立て続けに3人ほどそういった方を診察しました。

そのうちお二人は同じクリニックで注入された方で、残りの一人は海外で治療を受けた方でした。

3人とも、注入されたヒアルロン酸が鎖骨の方や脇の方まで広がっていて、見た目にも不可思議な形のバストになっていました。

もちろん、ヒアルロン酸であれば分解することも可能ですし、塊で残っていればエコーで確認しながら穿刺(針を刺す)し、吸引することもできます。 でも、高額な費用をかけ、注入したものを除去するなんて、非常にもったいないと思います。

ですから、ヒアルロン酸での豊胸術は、手軽だからと安易には考えず、その限界や、費用とのバランスを考え、慎重に判断すべきと思います。

ヒアルロン酸のお話のついでに、最近一部のクリニックで導入されているもう一つのフィラー(注入物)について触れておきたいと思います。 韓国で開発された物質で、当然韓国製です。
これはアクアフィリングという物質で、98%の水分と2%のポリアミドで構成されおり、生理食塩水を加えることで分解されます。

特徴としては、持続期間の長さで、3から5年かけてゆっくり吸収されていきます。 実際使用されているクリニックの症例写真や学会での報告を見る限り、見ための状態はヒアルロン酸による豊胸術と何ら変わりません。
それでいてヒアルロン酸より長持ちするのであれば、ある意味理想的な素材といえます。

でも今のところ、当院ではこのフィラーの導入は考えていません。

個人的には固形の人工物より、注射で注入するフィラーの方が、何かトラブルに見舞われた際は、重篤な事態に陥りやすいと考えています。

過去にも、絶対安全という触れ込みで海外から導入されたフィラーで、数年後に問題が発症し使用禁止になったことがありました。 ですから、この素材の長期経過のデータを確認せずに、安易に飛びつくのは怖い気がします。 別にアクアフィリングを否定しているわけではありません。 実際、私の二の腕には、実験目的で注入したアクアフィリングが数cc入っています。

結構柔らかく、感触的にはグッドです。でも、注入後、ヒアルロン酸では体験したことのない長期にわたる痛みと発赤がありました。 もちろん、私の体質が特別だったのかもしれません。

でも、少なくてもあと数年、自分自身で安全と思えるまでは、患者さんに使用することはないと思います。 ヒアルロン酸の話だけでかなり長くなってしまっていますが、もう一つだけお話しさせていただきたいと思います。

最近多くなってきた人工乳腺からヒアルロン酸への入れ替えです。
特に、人工乳腺特有の感触が気になる方や、お年をとって古い人工乳腺を体内においておくのが心配な方の中で、人工乳腺を抜去した後にバストが小さくなってしまうのが嫌な方にお勧めの治療です。

人工乳腺を入れている方は、その周囲に薄い被膜が形成されています。 これは、異物ではなく自分の体が人工物に反応して作った膜です。 この手術では、この膜を利用します。

つまり、人工乳腺を抜いた後、この被膜の中にヒアルロン酸を注入することで、バストのボリュームを維持します。 先ほど述べたとおり、しっかりした皮膜に包まれたヒアルロン酸の吸収は非常に遅いため、通常よりかなり長く保ちます。

さらに、時間が経って減った分のヒアルロン酸は、エコーで被膜のあるスペースを確認して、ここに針を穿刺することで、追加することが可能です。 この治療は、基本的には元の人工乳線が入っていたスペースを利用するため、人工乳線が入っていた時の形に近くなります。

もちろん、注入量を減らすことで、より自然に見せることもできますが、被膜拘縮などで変形の強いバストの入れ替えではお勧めできません。

豊胸術


ここでは具体的な注入法の詳細には触れませんが、一期的に予定のすべての量を注入することはせず、二期的に行っています。

豊胸術という手術については、特に強いこだわりがあります。
というのは、私自身、美容外科の世界に入る前、一般外科、乳腺外科医として乳がんの治療に携わっていたからです。 乳がんの治療では、早期の場合は、乳房自体は極力温存して患部とその周囲のみを切除し、その後に放射線治療や化学療法を行います。

でも、ある程度進行してしまうと、再発のリスクを減らすために乳房全摘術(乳房をすべて切除する手術)が選択されます。 私が乳腺外科医として勤務していた当時は、今以上に全摘の比率が高かったため、乳房を失ってしまった患者さんをたくさん見てきました。 そういった患者さんと接する中で、女性にとっての乳房の重要性は痛いほど強く感じていました。

どうしても失ったバストを取り戻したい方には、乳房再建と呼ばれる乳房を作る手術を、がんの手術後に受けていただいていました。
ちなみに、この乳房再建術は、以前は自分の別の部分の皮膚や筋肉などを用いて行うことが多かったのですが、最近は豊胸術で用いるのと同じ人工乳腺を使用することが増えてきています。

これは、コヒーシブシリコンと呼ばれる、中身が漏れる心配がなく、形も自然な人工乳腺が開発されたことが大きく影響しています。
つい最近までは、こういった治療は保険外になっていましたので費用も高額でしたが、前述したとおり、2013年の7月から保険適応となりました。 それに伴ってこういった治療が保険でできる病院も、学会の厳しい審査をクリアした認定施設のみとなりました。

当然、こういった認定を受けるためには、設備を含めしっかりとした体制が整っていることが条件になります。

そのため、個人レベルのクリニックが認定されることはまれで、そのほとんどが大きな施設です。実際、認定機関のほとんどが大学病院や大規模な総合病院です。

実は私が管理者をしているヴェリテクリニック名古屋院は、この認定施設になっています(一般社団法人オンコプラスティックサージャリー学会より認定)
美容外科専門のクリニックがこういった認定を受けることは非常に珍しく、これもひとえに当院の乳房に対する取り組みや、そういった治療を可能とする設備などを認めていただけたからと考えています。 “ 「アンチエイジング」より「スローエイジング」!?
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アンチエイジング治療は美容外科医にとってとても重要な仕事の一つです。

実際、美容外科におけるアンチエイジング治療の占める割合は、年々増加の一途をたどっていると思います。

その理由の一つには、選択できる治療内容が増えたことが挙げられます。以前はフェイスリフトや上眼瞼のたるみ取りといった切る治療しか選択の余地が無かったものが、最近では糸を入れるだけの治療や全く切らない治療など、様々な選択ができるようになりました。

ただしそれだけに、それぞれの治療のメリット、デメリットをしっかり見極めて、もっとも自分の目的や環境に合った治療を、自分自身の判断で決めることが今まで以上に大切な時代になったと思います。そういう訳で、その判断の材料になってくれるといいかなというお話を少ししてみたいと思います。

アンチエイジングって?

まず、アンチエイジングという言葉からみなさんが想像する日本語は何でしょうか?

医学的には「抗加齢」と訳されることが多いのですが、一般的には「若返り」の方がピンとくるのではないかと思います。

「返る」という言葉で表現されるように、アンチエイジングには「今の状態を昔の状態に戻す」というイメージがあります。もちろんこれは間違いではありませんし、実際ほとんどの方がそれを望まれます。

でも、この「戻る」ことだけがアンチエイジングなのでしょうか?

「今すぐに若返りたい」「昔の自分に戻りたい」という方にとっては、当然「戻る」治療しか方法は無いと思います。

でも、「実年齢より少し若く見られたい」「同世代の方より若くありたい」、それも少し時間をかけてもいいという方であれば、「戻る」ばかりが治療ではありません。

これは、ゆっくり年をとるという考え方です。

そういう意味では、「アンチエイジング」というより「スローエイジング」といった方が正しい表現かもしれません。 例えば、40歳の方がその後の10年間、同世代の方の半分のスピードでしか老化が進行しなければ、同級生より5歳若く見えます。さらに10年経てば10歳若くなります。 60歳の方がいきなり10歳若返ろうとすれば、かなり頑張っていろんな手術をしないと難しいと思います。 でも、加齢のスピードをゆるやかにするのは、手術より手軽な治療や日々のちょっとしたお手入れを根気よく続けるだけでなんとかなります。 これが「スローエイジング」の基本的な考え方です。 エイジング(加齢)というのは河の流れを小舟で下って行くのに似ています。 その流れ自体を止めることはできませんし、どんなに頑張ってオールを漕いで上流に戻っても、いずれは元いた場所に再びたどりついてしまいます。 でも、流れに逆流するほど頑張って漕がなくても、ちょっと流れと逆らうように漕ぐだけで、流れに身をゆだねきっている人よりも上流に留まっていることはできます。 逆に、短時間で大きく戻ろうとしたり、流れに逆らって同じ場所で留まろうとすれば、加齢とともにかなり無理な治療が必要になってきますし、それでも不可能なことが徐々に出てきて、それが精神的にもストレスになってきます。 とは言っても、「戻る」という要素が全くないのもさびしい話です。 昔、大原麗子さんの出演していたウイスキーのCMに、「少し愛して長く愛して」というコピーがありました。(古いですね) 其れにちょっと似ているのですが、頑張りすぎないアンチエイジングのコツは「少し戻って、長く保って」というイメージでしょうか。 つまり「アンチエイジング」と「スローエイジング」を上手に組み合わせていくことで、無理せずいつまでも若々しくという事です。” 超音波は強い味方!?

エコー

先日、よく行くバーでたまに見かける男性から、奥さんが妊娠中であるという話をお聞きしました。
「予定日が近いので飲んでいても落ち着かない」
と言いながら結構な量のお酒を飲んでいましたが、その際スマホに保存してある胎児の超音波(エコー)写真を見せていただきました。

私が研修医時代に産婦人科をローテートしていた際には、外来で毎日のようにエコー検査をさせられていましたが、その時代のものよりかなり機械が良くなっていて、赤ちゃんの表情が分かるくらい鮮明でした。

本当に嬉しそうにその写真を眺めている彼を見ながら、外来でエコーの画像を妊婦さんにお見せすると、みなさん本当に嬉しそうな表情をされていたことを思い出しました。

そして、エコー検査って本当に優れた検査法だなとあらためて実感しました。
せっかくなのでこの検査のどこが優れているのかをお話ししてみたいと思います。

今日は美容に関係ない話なのかなと思っていらっしゃる方は、ご安心ください。
後で必ず関係してきますので、ちょっと我慢してお付き合いください。

超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。
これを利用して体内に向かって超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが超音波(エコー)検査です。

この検査はX線検査のように放射線被爆の心配がなく、検査を受ける人の苦痛もなく安全です。
そのため、先ほどのお話のように、胎児の診察にも用いられています。

さらに良いのは、機械がコンパクトで持ち運びも簡単なことです。
最近は、ちょっと大きめのスマホぐらいのハンディーサイズまで存在します。
こんな簡便で小さく安全なのに、体のごく浅い層から奥深くまで調べられるのですから、本当にありがたい機械です。

もちろん、欠点がないわけではなく、脳などの骨に覆われた組織は原則見ることができませんし、肺などの空気の多い部分を調べるのも苦手です。
それでも、血管や心臓、肝臓や腎臓といった腹部の臓器から手足の筋肉や乳房にいたるまで、体のかなりの部分を検査できる優れものです。

ここからが本題ですが、じつは私のホームグラウンドであるヴェリテクリニック名古屋にも超音波検査機があります。

ハンディータイプとはいかず、サイズはやや大きめですが、その分充実した機能を兼ね備えています。
「美容外科でどうしてエコーが必要なの?」
と思われる方は少なくないと思いますし、実際この機会を置いている美容外科は少ないと思います。
でも、これが意外に役立っています。
もちろん、心臓や内臓の検査をすることはありません。

美容外科は、見た目を変える治療を行っている科ですので、もっと体の浅い部分をこれで調べています。
具体的にいえば、皮膚や、皮下脂肪、筋肉、そしてそこに注入された異物などです。
用いるプローブ(探触子:超音波を発する装置)も、体表に近いところを調べる専用のものを用います。

ちなみにこれは顔をエコーで調べている写真ですが、このように調べたい部分にセリーを塗ってプローブを当てるだけなので本当に手軽です。

では、具体的に例をあげていきます。
一つは、乳房の検査です。
乳房といっても、乳がんの検査ではなく、主に豊胸に関連した検査です。
これだけでも、かなりいろいろな状況で使えます。
ざっと羅列するとこんな感じです。

1.豊胸術の術式(乳腺下、筋膜下、大胸筋下)の適応を判断する材料として、エコーで皮下脂肪や乳腺、大胸筋の厚みを計測する。
2.被膜拘縮(豊胸術の術後にバストが硬くなる反応)の程度や状態を評価
3.脂肪注入やヒアルロン酸注入後にできるしこりの有無やサイズ、個数の評価
4.人工乳腺の破損や劣化の有無のチェック

まだまだありますが、ここに挙げたものだけでも、エコー有るのと無いのでは、その後の治療に対する安心感が大きく変わってくると思います。
では、具体的な画像を見てみましょう。

人工乳腺のエコー

まずは人工乳腺による豊胸術(シリコンバッグ豊胸)の術後エコーです。
ちなみに、エコーの見方について簡単に説明しておくと、上が表面側で下に行くほど深い層になります。

今回出てくる画像では、左横にでているメモリ(小さい点)一つが1センチになります。
黒いおおきな塊が人工乳腺(バック)です。
その上方に見える黒と白の線がシェル(シリコンを包む袋)と被膜になります。
この画像では、この線が薄く非常になめらかですので、正常な状態と診断できます。
被膜拘縮を起こした症例では、この部分が厚くそしてグニャグニャと波打ったように見えます。

ヒアルロン酸のエコー

次は、ヒアルロン酸による豊胸術の画像です。
たくさんの黒く抜けた塊が確認できると思いますが、これがすべてヒアルロン酸の入っているところです。
この方は、他院で注入されたヒアルロン酸を取られたいと御相談にいらっしゃいました。
この場合にも、エコーがあれば、画像で確認しながらヒアルロン酸を安全に抜き取ることができます。
実際、この方については、エコーガイド下に一つ一つのスペースを穿刺(針を刺すこと)し、ヒアルロン酸を抜き取りました。どうしても抜けない部分にはヒアルロン酸分解酵素を注入しました。

豊胸目的で大量注入されたヒアルロン酸のエコー

皮下脂肪のエコー

エコーは皮下脂肪の評価にも使えます。
脂肪吸引の適応や目的を判断する際、通常はその部分をつまんで厚みを確認します。
もちろんそれだけで十分という考え方もできますが、特に頬や顎下などは、つまんだ厚みのどこまでが皮下脂肪であるか判断に迷うことも少なくありません。
術前、かなり皮下脂肪がたくさん付いていると判断して手術に臨んだ場合にも、実際は思ったより脂肪が少なく結果もいまひとつなんてことがあります。
こういった時にも、エコーさえあれば、皮下脂肪の厚みをあらかじめ調べることができるので、手術後の結果のシミュレーションや適応の有無を術前にお伝えできます。

頬のエコー

顎下のエコー

上腕のエコー

下股のエコー

今回出ている画像には、皮下脂肪の厚みの具体的な数字は出ていませんが、これを0.1ミリ単位で計測することもできるので、治療前後の正確な評価にも使用できます。

筋肉のエコー

最近はボトックスでエラやふくらはぎを細くする治療が流行っていますが、この治療の評価にもエコーが使えます。
筋肉は力を入れることで肥大しますが、ボトックスを注射した筋肉には力が入らなくなります。
この状態がしばらく続くと、筋肉自体が萎縮し、通常時の筋肉のサイズも小さくなります。
これがボトックスによる小顔治療の仕組みですが、事前にエコーでこの部分の筋肉の厚みを計測することで、適応を判断する参考になります。
また、ボトックスを注射した一ヶ月くらい後に再度計測することで、さらに正確に評価できます。

それ以外にも、以前に挿入されたシリコンや注入された異物をチェックすることもできますし、感染の有無や程度のチェックが出来ることもあります。
美容外科では、治療そのものが重視されがちですが、ほかの医療同様、診断も非常に大切であると思います。
より良い治療を行うために、より正確な診断が重要であるということです。
エコーはそれに大いに役立つ検査であると思います。

脂肪吸引ボトックスでの小顔治療を迷われている方、豊胸術をお考えの方や、以前受けた手術の結果が思わしくなく再手術をお考えの方、海外で注入した異物で悩まれている方など、ぜひご相談にいらしてください。

今回はいつもにも増してちょっと堅苦しいお話になってしまいました。
画像もエコーの写真ばかりで、単調になってしまいましたね。
ですから、ついでと言ってはなんですが、おまけのお話を一つ

先ほど話に出た頬の脂肪ですが、最近は脂肪吸引よりもずっと手軽な脂肪溶解注射という薬の治療が増えてきました。
この治療の欠点は、脂肪吸引のように一回で大きな変化が出るものではなく、何度か繰り返さなければいけないことや、繰り返し治療をしていっても、脂肪吸引レベルの効果が出にくいことでした。
しかし、最近の脂肪溶解注射は一回の治療で見た目に明らかな変化が出ることも少なくありません。
さらに、これを繰り返すことで脂肪吸引と同等の結果となる方もいらっしゃいます。

「小鼻が重い」ってどういうこと!?

「小鼻が大きいんじゃなくて重い」ってどういうこと!?

小鼻を小さくしたいとご相談にいらっしゃる方の中には、小鼻自体はそれほど大きくないというがかなりたくさんいらっしゃいます。

その中には、本当にきれいな形の小鼻なのに、ご自分で大きいと思い込んでいるだけの方もいます。

でも、実際それ以上に多いのは、大きくはないけど確かに目立つ、どこか気になる存在感のある小鼻を持った方です。

こういった方の多くは、「小鼻が大きいのではなく重い」という表現がしっくりくるタイプです。

「重い」というとあまりにも抽象的な表現ですが、実際、この表現以上にぴったりくる表現を思いつかないので、カウンセリングでもよくこう言って説明しています。

では、重い小鼻とは、具体的にどんな小鼻なのでしょうか。

イラストと写真で説明していきたいと思います。

横顔で、美しく見える鼻翼の形というのは、その下縁(鼻孔縁)の形状に大きな特徴があります。

鼻翼の下縁が、その付け根から一旦上に向かってゆるやかにカーブしていき、途中から方向を変え下に向かい、鼻先ではそのピークより下で終わっているように見えます。

ちょうど、鼻翼の付け根から飛行機が飛び立って、鼻先の手前で着地するイメージです。



これを、別の言い方で表現すると、鼻孔縁のカーブが全体として緩やかな上向きのカーブを描いていて、さらに、その鼻先側と付け根側に大きな高低差が無い形になります。



これが、小鼻が重く見える方になると、これとは違った形になっています。

まず、鼻孔縁が下に向かってカーブするか、またはほぼ直線的になっています。

鼻先側だけ、少し上向きのカーブになる方もいますが、全体として上向きの部分の割合が少ないのが特徴です。



こういった形に見える原因は、一つではありません。

小鼻そのものに原因がある場合もあれば、鼻の他の部分とのバランスに原因がある場合もあります。

このバランスにもいくつかのパーツか関係していますが、一番影響するのが鼻柱と鼻翼基部の位置関係です。

ちなみに鼻柱というのは鼻の左右の穴を隔てている真ん中の部分で、鼻翼基部というのは鼻翼の付け根になります。



この二つの位置関係で鼻翼の見え方が変わります。

例えば、鼻柱が短く鼻翼基部より上にあると、鼻翼が下に引っ張られたようになり、鼻翼が重く見えます。

鼻柱に充分な長さがあっても、それ以上に鼻翼基部の位置が低いと、同様に鼻翼が重く見えます。

バランスの問題ばかりではなく、鼻柱の長さや鼻翼基部の位置が理想的であっても、鼻翼自体に問題がある事で重く見えるケースもあります。

これは、鼻孔縁自体の形状が下向きのカーブになっているために鼻翼が重く見えるということです。

もちろん、こういった原因が複合的に合わさっているタイプも少なくありません。




当然、タイプが違えば治療の方針も異なります。

では、重い小鼻を軽くする治療についてお話していきたいと思います。

先ほどの3つのタイプに分けて、それぞれ考えてみたいと思います。

まず、鼻柱が短くて、鼻翼が重く見えるタイプでは、鼻柱を下に伸ばす治療、つまり「鼻中隔延長」を行います。

イメージとしては、飛び立ったまま着地しない飛行機を、着地させるイメージです。

この手術の詳細については、私の過去のブログやクリニックのホームページで見ていただくとして、簡単に言えば鼻の真ん中を下に引っ張るように伸ばす手術です。

実際、このタイプの方が指で鼻の真ん中をつまんで引っ張ると、それだけで、小鼻がすっきり見えます。(一度鏡の前で試してみてください。)

この鼻中隔延長は、前方にも鼻を伸ばすことができるので、重さだけでなく、小鼻が丸くふくらんで大きく見える方の、丸みの緩和を目指せます。

ですから、鼻柱が短いことも小鼻が大きいことも両方気になるという方は、よほど小鼻が大きい場合以外は、まず鼻中隔延長だけ行ってみることをお勧めしています。

それだけで、気になっていた小鼻の大きさが気にならなくなる方がたくさんいらっしゃいます。

もちろんそれでもまだ小鼻の大きさが気になれば、必要な分だけ切除すると良いと思います。



話が少し逸れてしまったので、元に戻ります。

次のタイプ、鼻柱の長さは充分あるけれど、それ以上に鼻翼が下がっているタイプには、「鼻翼挙上術」という治療を行います。

これは、その名の通り、鼻翼を上に移動させる手術です。単純に持ち上げるだけでは鼻翼が上でつかえてかっこ悪くなってしまうので、あらかじめ上げることでつかえる分の鼻翼を上で切除します。

通常の鼻翼縮小などと比べても傷が大きくなってしまうのが欠点ですが、この手術でなければきれいな小鼻にならない方は結構いらっしゃるので、最近増えつつある手術です。



では最後のタイプ、鼻柱や鼻翼基部の形は良いけれども、鼻孔縁のカーブそのものが下向きで小鼻が重く見える方には、鼻孔縁の下へのふくらみを変化させる「鼻孔縁形成術」を行います。

これも、以前お話ししたことがある治療なので、詳細は省きますが、小鼻の下縁を切除して形を変えるシンプルな治療です。

この手術は手技も単純で、傷も鼻孔縁の辺縁に沿った目立たない場所にしかできないので、適応さえあればぜひお勧めしたい治療です。



今回は、話を分かりやすくするため、ちょっと乱暴ですが大きく3つのタイプ分けをしてみましたが、実際はこれらの要因が複合的に関与していることが多々あります。

ですから、治療が複合的になることもかなりあります。

例えば、鼻柱も短いけれど、鼻孔縁のカーブ自体も下を向いているケースでは、鼻中隔延長と鼻孔縁形成の両方を同時に行います。

鼻翼の重さと大きさの両方に問題がある場合などでは、鼻翼挙上と鼻翼縮小を同時に行う場合もあります。

小鼻は本当に複雑で厄介な場所です。

一度手術すると戻れない治療も多いため、どんな治療をすればどういった形になるのかを術前に

イメージして治療に臨まないと、大変なことになります。

安易な治療は避け、納得いくまでしっかりとカウンセリングを受けて、手術に臨みましょう。

“ 理想の豊胸術ってどんなもの? パート3

人工乳腺のメリットとデメリット

前回、前々回とヒアルロン酸や脂肪注入による豊胸術についてお話してきましたが、今回はいよいよ人工乳腺(バック)による豊胸術についてお話していきたいと思います。
いよいよと言ったのは、少なくとも現在の豊胸術の主流の手術であることは間違いないからです。
最近は脂肪注入を希望される方も多いですが、それでも世界的に見れば、人工乳腺による豊胸が圧倒的なシェアを占めています。
人工乳腺についてはバックの種類(中身やシェルのタイプ、形状)、術式の違いとそれぞれの術式の適応など、お話しすることは山ほどありますが、まずはヒアルロン酸や脂肪注入と比較してどうかということに絞ってお話ししてみたいと思います。
前回までと同様、この手術のメリット、デメリットを確認することで、他の方法との違いを考えてみましょう。
ちなみに人工乳腺のことを、美容外科や形成外科では「バック」と言ったり「インプラント」と呼んだりしています。
この後の内容にも、この両方の表現が出てきますが、あくまで全て人工乳腺のことなのでご了承下さい。
ではまず、メリットです。

メリット

1.サイズアップ
もちろんどこまでも大きくできるわけではなく、元の体型やバストサイズによる限界もありますが、ほとんどの方で2サイズ以上のバストアップができます。
前回の脂肪注入の回でお話しさせていただきましたが、脂肪注入で一度に2サイズを超えるサイズアップは非常に難しく、大きなサイズアップを望まれる方は何度か手術を繰り返す必要があります。
ヒアルロン酸も、一度にたくさん入れ過ぎると、バスト以外の部位に広がってしまったりします。
ましてや、サイズを維持するためには繰り返し注入する必要があり、ヒアルロン酸で大きなサイズアップをすることは、金銭的にもかなりハードルが高くなります。

2.サイズの維持
ヒアルロン酸は1年前後で吸収されてしまいますし、脂肪も痩せてしまったりすると、サイズダウンしてしまいます。
それに比べ、人工乳腺であれば、入れたバックのボリュームがそのまま残ります。
以前よく使用されていた生理食塩水バックは、時間とともに水が抜けて小さくなってしまうことがありましたが、今のコヒーシブシリコンバックであればサイズが変わることはありません。
また、バックの耐久性には諸説ありますが、現代のシリコンバックであれば数十年の耐久性があると思います。
ちなみに、人工乳腺による乳房再建のガイドラインでは、「インプラントは半永久的なものではない」という記載があります。
またメーカーが再建患者さん用に作っているパンフレットにも「10~20年後の入れ替えを視野に入れておくことが望ましい」とされています。
ただしこれは、10年から20年後に必ず入れ替えなければいけないということではなく、あくまで入れ替えなければならなくなる可能性があるということです。
ですから「視野に入れて」なんていうあいまいな表現になっているのだと思います。
少なくとも、バックに異常がないかを定期的にチェックするべきではあると思いますが、検査で何も異常がなければ、あえて入れ替る必要はないと思います。
もし、すでにバックが入っている方で10年以上経過している方は、念のためエコーなどでバックの状態をチェックするのが望ましいと思います。
お近くの乳腺外科にご相談いただければ、美容目的で豊胸された方でも診察していただけるはずです。
もし、断られてしまったり、一般病院での検査に抵抗がある方は一度ご相談ください。
当院では、他のクリニックでご手術された方でも検査可能です。

3.乳がん検診に影響しない
これは、「逆じゃないの」と思われる方も多いと思いますが、注入するものの一部が乳腺内に入る可能性のあるヒアルロン酸や脂肪と比べ、人工乳腺は乳腺より下の層に入りますので、検査しにくくなることは原則ありません。
以前の生理食塩水バックであれば、マンモグラフィーでバストを挟み込むことによって、バックが破裂する可能性がありましたが、現代のコヒーシブシリコンバックであれば、外圧に対する耐久性は非常に高く、マンモグラフィー程度で損傷することはまずありません。
もちろん超音波検査なども全く問題なく行えます。
豊胸術を受けた方の中には、検査を断られるのを恐れて、もしくは、検査できないとあきらめて、乳がん検診を受けられない方がいらっしゃいますが、これほどばからしいことはありません。
最近は、コヒーシブシリコンバックによる乳房再建術が保険適応になったこともあり、しっかりした乳腺外科の施設であれば、人工乳腺を理由に乳がん検診を断られることはありません。
ただし、一般的な集団検診のレベルだと、人工乳腺が入っているというだけで、再検査とされてしまい、二度手間になる可能性があるので、最初から乳腺外科を受診されることをお勧めします。
では、デメリットはどうでしょうか。

デメリット

1.傷ができる。
脂肪注入の場合でも、脂肪吸引のために小さな傷はできますが、バックを挿入する際は、数センチの切開をしなければなりません。
海外では、多くの場合乳房の下縁もしくは乳輪周囲を切開しますが、日本では脇を切開する術式が好まれます。
当たり前ですが、傷が目立たないというのがその理由です。
手術は多少面倒になるのですが、やはり傷の目立ち方を考えれば脇からアプローチするメリットは大きいと思います。
いまだに学会などで乳房下縁じゃないと出血などのリスクに対応できないから危ないとおっしゃる先生もいますが、丁寧な操作を行えば脇からのアプローチでも手術は行えます。
実際、この手術で術後に貧血をおこすような出血はまずありませんし、良い層を丁寧に剥離していけばほとんど出血しません。
話はそれてしまいましたが、いずれにせよ傷ができるのはこの手術のデメリットの一つであると思います。
ただし、ほとんどの場合、脇の傷は元々あるしわの一部のようになってしまいますし、もし術後の経過で思いのほか目立つ傷になってしまった場合も、修正することで目立たなくできます。

2.異物感を感じる
人工乳腺は簡単に言えば袋にシリコンを詰めたものです。
袋状のものなので、バストを触ったり動かした際に一つの塊としてしか動きません。ましてや中身は均一な素材です。
実際の乳房は、脂肪や乳腺の集合体で、決して均一ではありません。
それに比べ人工乳腺は均一な塊なので、それが異物感につながることがあります。
また、稀ではありますが、人工乳腺が時々冷たく感じるとおっしゃられる方がいます。
これはおそらくですが、人工乳腺の中には血流が無いので、運動などで急激な体温の上昇がある際に、バックの温度が周囲に比べて一時的に低くなるためと考えられます。
こういったことも異物感を感じる要因になると思います。

3.触ると分かる
先ほども述べたように、人工乳腺は袋に入ったシリコンの塊で、中には神経も血管も通っていないので、当然自分で触ればそこにあるのがわかります。
では、他人が触ったらどうでしょうか?
これは、単純にこうと言えるものではありません。
たとえば、こういった手術を仕事としている我々が触診すれば、おそらくどんなに仕上がりがいい人工乳腺でも入っていることはわかります。
では、それ以外の方ではどうでしょうか?
これは、手術の仕上がりで大きく異なります。
この仕上がりには、もちろん手術の出来不出来が大きく作用しますが、それ以外にも、手術を受けた方の体型や元のバストの大きさ、皮下脂肪の厚み、バックのサイズなど様々な要素が影響します。
例えば、皮下脂肪が厚く、乳腺組織もある程度ある方は、ちょっと触っただけでは我々でも迷うくらい、自然な感触になることが多いのですが、逆に、痩せていてバストの上に肋骨が浮き出ているような方であれば、どうしてもバックをダイレクトに触れるので、わかりやすくなります。

4.見た目や動きが本物と異なる
これも、すべての方がそうなるというわけではなく、特に痩せていて皮下脂肪や乳腺組織が少ない方が、体形に合わない大きなバックを入れたケースほど、本物との違いが鮮明に出てしまいます。
特に極端に痩せている方は、バックの辺縁が浮き出やすく、いかにも「入っている」感じが強くなります。
最近はこういった方には、バック挿入後にバックの周囲に脂肪やヒアルロン酸を注入することで、辺縁を目立ちにくくさせる工夫をしたりもしています。
こういった治療は、最初から脂肪やヒアルロンだけでバストアップするのに比べ、サイズアップが容易ということもあり、少しずつ増えてきています。
動きや感触も、実際のバストとは多少異なります。
先ほども述べた通り、人工乳腺は本物のバストと違い、均一なシリコンが入った袋状の物体です。
これが多少本物のバストと異なる動きに影響します。
具体的には、仰向けになったとき、本物のバストではバスト自体がぺしゃんとつぶれるような形になりながら、同時に外に流れます。
人工乳腺でも術後、皮膚にある程度の余裕が出来てくると、外に流れるような動きは出てきますが、本物のようなつぶれる変化にはなりません。
あくまで上方向のボリュームをキープしながら動きます。
本物のバストでも若くて脂肪の少ない乳腺主体のバストであれば、あまりつぶれるような動きにはならないので、それほど大きな差には感じないかもしれませんが、脂肪の多い柔らかいバストと比べるとかなり違うと思います。

最近、日本で使用頻度が急激に増加しているモティーバという人工乳腺は、従来のコヒーシブシリコンに比べ、バックのシェルの伸縮性が高く、中身のシリコンも柔らかいので、重力によって形が変化しやすくできています。
ですから、従来のものに比べるとかなり自然な動きに近づいてきていると思います。
実際このバックはコヒーシブシリコンバックに多く見られるアナトミカル型(涙型)ではなく、ラウンド型(お椀型)をしていますが、起き上がると重力の影響で下方向にバックのボリュームが偏り、「アナトミカル型に近い形状」になります。
こういったバックがさらに改良されると、もしかしたらさらに本物に近いバストが作れるようになるかもしれませんね。

“ 理想の豊胸術ってどんなもの? パート2

脂肪注入と人工乳腺

以前に豊胸術の全般的なお話、そしてヒアルロン酸による豊胸術についてお話しさせていただきました。
今回は、脂肪注入についてお話ししたいと思います。
脂肪注入による豊胸術にも、ヒアルロン酸注入同様、メリットとデメリットがあります。
まず、他の術式と比べて優れていることからお話ししていきます。


メリット

1.自家組織であること
ご自分の組織を用いて豊胸したいという方にとっては、脂肪注入という方法になります。
元々バストが大きい方も、その中身は乳腺組織と脂肪で出来ているわけですから、ナチュラルバストにこだわる方にとっては、良い方法といえます。

2.感触が柔らかいこと
ご存知の通り、脂肪は非常に柔らかい組織です。後述する変性脂肪によるしこりさえできなければ、とてもやわらかい感触になります。

3.傷が小さいこと
これは、人工乳腺による豊胸術と比較してということになりますが、脂肪注入の際には、バストの外側や乳輪の境界といった目立たない場所に1.5ミリ程度の小さな穴をあけ、そこから細い針で注入していきます。
術後しばらくの間は、刺入部に虫刺されのような小さな赤い痕は残りますが、時間が経てばほとんど目立たなくなります。

4.一石二鳥であること
脂肪注入を行うためには、その前提として必ず脂肪吸引を行う必要があります。
ですから、バストも大きくしたいけどスリムにもなりたいという方にとっては、その両方が同時に叶えられる一石二鳥の治療になります。

では逆にデメリットはどういったものでしょうか?これも箇条書きにしてお話ししていきます。


デメリット

1.注入した脂肪の一部は吸収されてしまう
前述したヒアルロン酸のようにそのすべてがいずれ吸収されてしまうという訳ではありませんが、脂肪も注入後しばらくの間は徐々に減少していきます。
一般的な注入方法を用いると20~40%程度は吸収されてしまいます。
では、最初からその分余分に注入しておけば良いのではという話になりそうですが、そういう訳にもいきません。
それが次のデメリットです。

2.一度に注入できる量に限界がある。
脂肪は生きた細胞ですから、移植された脂肪がその後、持続的に定着するためには、酸素や栄養分の供給が必要になります。
限られたスペースにあまりにも多くの脂肪をむりやり注入してしまうと、一つ一つの細胞への供給量が少なくなり、場合によってはそのほとんどが壊死してしまうことになります。
これは、魚を飼うときに、小さい水槽に大量に魚を入れれば、酸欠であっという間にみんな死んでしまうのと同じようなものです。
さらに壊死した脂肪は、場合によっては吸収されず変性し、しこりを形成したり石灰化したりします。
体型にもよりますが、一度に注入できる脂肪の極量は200~250cc程度です。
これは、それ以上注入できないということではなく、これ以上注入しても定着する量が変わらないか、場合によっては少なくなってしまうということです。
特に、元のバストが小さい方は、それより少ない量でも脂肪がすし詰め状態になる可能性もあり、この場合さらに注入量を少なくせざるを得ないこともあります。
こういった場合、さらなるサイズアップを望まれる方は、最初の注入から半年程度待って再度注入する必要があります。

3.人工乳腺と比較して、サイズアップに限界がある。
先ほど一度に注入できる脂肪量は200~250ccとお話ししましたが、これが最終的に定着してできるバストのサイズアップは1~2カップです。
人工乳腺であれば、一度に3カップ、4カップ、元の体型によってはそれ以上のサイズアップも可能ですが、脂肪注入では3カップまでが限界です。
ましてや、元の体型や栄養状態、年齢、喫煙など様々な要因で、実際に定着率は違ってくるので、一度の手術でこのくらいは大きくしたいという目標が明確な方には、人工乳腺の方がおすすめです。

4.人工乳腺の豊胸術より手術が大変
単純に胸の手術として見たときには、人工乳腺を入れるより脂肪注入の方が手軽に感じると思いますが、先ほどもお話ししたように、脂肪注入をするためには脂肪吸引を行わなければいけません。
片側に250ccの脂肪を注入しようとすると、単純計算、両側で500ccの脂肪が必要になります。
最近は脂肪を遠心分離して濃縮して注入することが一般的になっていますが、濃縮することで脂肪のボリュームは小さくなってしまう訳ですから、さらにたくさんの脂肪を準備する必要があります。少なくとも800cc、できれば1000cc程度の脂肪吸引を行わなければ、目標の注入量が確保できないと思います。
1000ccの脂肪吸引というのは、けっこうなボリュームです。
特に、痩せている方であれば、お腹全体から吸引しても足りないくらいの量です。
また、術後の痛みについても、脂肪注入したバストより、脂肪吸引した部分の痛みの方が強いケースが多々あります。
当然、吸引が広範囲になればなるほど大変な治療になります。
また、手術時間についても、人工乳腺の挿入より時間がかかります。
どの程度の範囲の脂肪吸引をするかにもよりますが、人工乳腺の豊胸術の少なくとも二倍以上の時間はかかってしまいます。
如何でしょうか?メリット、デメリットとも理解いただけたでしょうか?

では、デメリットを極力少なくしてメリットを生かすためにはどうしたら良いでしょうか?
これには大きく分けて、二つの対策が考えられます。
一つは脂肪の定着率を極力アップさせる工夫、そしてもう一つは手術の負担を極力減らす工夫です。
前者についても最近は様々な工夫を行っています。
この代表的な手技がコンデンスリッチファット脂肪注入です。
これの詳細についてはホームページを見ていただくといいと思うのですが、シンプルにお話しすると、吸引した脂肪を特殊なフィルターのついた容器に入れ遠心分離にかけることで、劣化した脂肪を取り除き、脂肪の定着をする幹細胞を通常より大量に含む濃縮した脂肪に形成する方法です。

こうして作られた脂肪は、通常の脂肪より定着率が高く、また従来の脂肪注入でみられる石灰化や脂肪壊死、しこり形成などがほとんど起こりません。
この手技にはデメリットはほとんどありませんが、しいて挙げれば遠心分離の過程に時間がかかることと、特殊なキットを使用する分費用が余分にかかってしまうことです。

もう一つ、最近取り入れられつつある手法が、脂肪注入前にBRAVA(ブラバ)を仕様する方法です。
BRAVA(ブラバ)とは、ドーム型のカップをバストに吸着させ陰圧をかけることで、バストの皮膚や組織を伸ばしバストアップさせる医療機器です。
従来は、吸引することで少しずつバストアップすることを目的とした機器でしたが、それだけではサイズアップに限界があり、特に日本ではあまり普及しませんでした。

しかし最近になり、このBRAVAを脂肪注入の術前に使用することによって、脂肪の定着率がアップすることが分かり、再び注目されるようになりました。
従来、BRAVAには、陰圧を持続的にかけることで、皮膚の伸展と血管が新たに生まれることによる血流アップが目指せるとされてきました。
脂肪注入の際には皮膚の伸展により注入脂肪量の増大になりますし、血流増加によって注入脂肪に栄養が行きわたりやすくなり、定着率のアップとなります。



最近は、美容目的の豊胸術だけでなく、乳房再建の際にもこの方法が用いられるようになってきました。
ただし、この方法には欠点もあります。
一つは、この器具の購入に結構な費用がかかることと、装着している間、苦痛を伴うことです。
施設によって異なりますが、脂肪注入にBRAVAを併用する場合、手術の4週間ほど前から開始します。一日10時間程度装着するのですが、その間持続的にバストを吸引されているので、人によってはかなりの痛みを伴います。
「多少辛くても、バストアップのためなら頑張れる!」という方にはお勧めの方法かもしれません。
ではもう一方の、負担を減らす工夫にはどういったものがあるでしょうか?
デメリットの一つに挙げたように、脂肪注入を行うためには必ず脂肪吸引の必要があります。
そして、その脂肪吸引の負担の方が大きかったりします。
ですから、いかに負担の少ない脂肪吸引を行うかが、この治療全体の負担軽減にとって重要です。

そこで行われているのが、ベイザー脂肪吸引です。
従来の脂肪吸引では、脂肪を吸引する際に、脂肪細胞の間にある神経や血管組織の一部を損傷してしまうことを避けることができませんでした。
これが、術後の痛みや内出血を悪化させる要因になっていました。
ベイザー吸引では、吸引を行う前に特殊な超音波(ベイザー波)を先端から照射する機械を脂肪内に挿入します。
このベイザー超音波の振動により、索状組織・血管・神経組織から 脂肪細胞のみを遊離します。
その後に吸引を行うため、索状組織・血管・神経組織を傷つけずに、脂肪細胞のみを吸引できます。
さらに、不純物の少ない脂肪が採取できるので、定着率のアップにもつながります。

欠点は、機械が高価な分、治療にかかる費用がどうしても割高になってしまうことですが、吸引部分の引き締めにもなるため、できれば選択したいところです。

“ 鼻翼基部

地盤沈下のお話

今、世界中で地盤沈下やそれによる地面の陥没が深刻な問題になっているみたいです。

先日、テレビでそれに関する特集番組を見ました。

その原因の多くは農業用水や工業用水を確保するために行っている地下水のくみ上げにあるようです。

少しずつ沈下していくケースがほとんどですが、ある日突然大きく沈下することもあるようです。

今住んでいる家がある日突然沈下して傾く様を想像すると怖くなりますね。

今日のテーマはそこまで怖いものではありませんが、同じ地盤沈下のお話です。

地盤沈下といっても、土地や家のことではなく、もちろんお顔のお話です。

お顔で地盤沈下が問題となるパーツはどこでしょうか。

地盤沈下というからには、本来平坦なところに建っているべきものが、それより沈み込んでいるということになります。

如何ですか。

何か思い当たる顔のパーツはありますか。

答えは鼻翼です。正確には鼻翼の付け根です。

この部分を「鼻翼基部」と呼びますが、中顔面の骨格の発育の問題などで、ここが顔に埋もれるように沈み込んでいる方がいらっしゃいます。

土地の地盤沈下のようにだんだん沈んでいくという訳ではなく、もともとの骨格や成長過程で沈んで見えるようになっているだけなので、ちょっと意味が違うのかもしれません。

でも、鼻翼基部の地盤沈下も、地面の地盤沈下同様、お顔にとってはちょっと問題です。

では、何が問題なのか具体的に考えてみましょう。

まず、この部分が沈み込んでいると法令線が深く見えます。

若いうちから法令線が目立つ方は、たるみの問題よりこのことに原因がある可能性があります。

また、この沈み込みによって相対的に口元が前に出て見えることもあります。

さらにこれはあくまで印象の問題ですが、鼻柱基部が陥没していると何となく野卑な、もしくはちょっと意地悪そうな印象に見えてしまうことが少なくありません。

ですから、鼻柱基部の沈み込みがゆるやかになると、それまでよりちょっと上品でやさしい口元になります。

ちなみに韓国では、そういった理由もあってこの手術のことを「貴族手術」と呼ぶそうです。

貴族が本当に上品な顔をしているのかどうかは別にして、ちょっと面白い呼び方ですね。

さて、この鼻翼基部の凹みはどうしたら緩和できるのでしょうか。

単純に考えて、埋まりこんでいる鼻翼を押し上げるために、鼻翼の下に何かを入れるとよさそうです。

実際その通りで、この治療のために、鼻翼基部の付け根にヒアルロン酸や脂肪、軟骨、シリコンといった様々なものを入れます。

一番簡単な方法はヒアルロン酸などのフィラー(注入材)です。

でも、ヒアルロン酸自体とても軟らかいゲル状の素材なので、鼻唇溝の凹みは埋めることが出来ても、鼻翼自体を持ち上げることは困難です。

最近では、架橋構造(ヒアルロン酸分子同士の結びつき)が強い、硬くしっかりしたヒアルロン酸もあり、これまでのヒアルロン酸に比べればかなりしっかりと鼻翼を押し上げることが出来ます。

ただし、鼻翼は鼻筋や上唇鼻翼挙筋などの筋肉の影響で絶えず動く場所であるため、その影響で次第に注入したヒアルロン酸が周囲に押しやられてしまい、なかなか効果が持続しません。

脂肪も同じ理由で、鼻翼を押し上げる力が固形物に比べると弱く、またほかの部位に注入した場合より吸収されやすい傾向にあります。

鼻翼基部を持ち上げられず鼻唇溝だけが膨らむのでは、法令線のしわのケアにはなっても鼻翼基部の地盤沈下の変化にはなりません。

本当の意味で変化させるためには、やはりしっかりとした材料で鼻翼基部自体を持ちあげる必要があります。

そのために一般的に使用しているのはシリコンプロテーゼやゴアテックス、耳介軟骨などです。

このうち、耳介軟骨は、自家組織という安心感はありますが、両側の鼻翼基部から鼻唇溝にかけてを全体に持ち上げようとすると、けっこうなボリュームが必要になり、その確保が大変です。

とはいえ、この手術のために大きな軟骨が採取できる肋軟骨を使うのはちょっとやりすぎです。

耳介軟骨でも、両側の耳介から採取すればけっこうなボリュームになるので何とかなりますが、後述するように人工物でも手術できる場所なので、なんとなく勿体ない気がしてしまいます。

鼻中隔延長や鼻尖形成など、自家組織でないと難しい鼻の手術は他にあるので、美容外科医としては、そのために残しておきたいと考えてしまいます。(ただのおせっかいかもしれませんが。)

私自身はシリコンプロテーゼをよく使用しています。

以前はシリコンブロックから削り出して作っていたのですが、最近は鼻翼基部専用のプロテーゼがあり、それも多様な形とサイズが揃ってるので、その中からその方にあったものを選んで使用しています。

もちろん、さらにぴったり合うように形の微調整はします。

鼻腔内から入れることも可能ですが、主には口腔内から入れています。

歯茎のちょっと上方の粘膜をほんの少し切開すれば挿入できます。

粘膜は伸びるので大きな切開は必要なく、結構なサイズのプロテーゼを入れる場合でも切るのはせいぜい1センチくらいです。

この手術のポイントは、鼻唇溝だけでなく鼻翼直下までスペースを確保し、鼻翼基部をプロテーゼで押し上げることです。

先ほどもお話しした通り、鼻翼の外に入れるのでは、法令線のケアにはなっても、鼻翼基部の陥没の修正にはなりません。

それには、正確な剥離と術直後の固定が必要になります。

そのためにプロテーゼを上顎骨にスクリューで固定する方法もあるのですが、そこまでしなくても、周囲の癒着と被膜形成によってプロテーゼが安定するまでの一定期間、内と外から固定すれば十分であると考えています。

最後にこの手術の欠点(リスク)についてお話ししておきたいと思います。

その一つは、鼻翼がプロテーゼで押し上げられる際に、外側に広がって見えてしまうことがあることです。

また、それほど多くはありませんが、鼻翼自体のふくらみ(丸み)が強調されてしまうこともあります。

それ以外にも、鼻翼周囲の筋肉の動きが制限され、笑った際などの表情に多少のぎこちなさを感じることもあります。

表情については時間とともに、そのぎこちなさが緩和することが多いのですが、前者の二つについては何らかの対策が必要です。

具体的には、外に広がることに対しては、左右の鼻翼を引き寄せるように鼻翼の中に糸をかけます。

また、鼻翼自体のふくらみに対しては、場合によっては鼻翼縮小や鼻中隔延長が必要になることもあります。

ただし、こういった治療を行いたくない場合、最悪、プロテーゼを抜去してしまえば少なくとも元の状態には戻ります。(できる限り、避けたい事態ですが。)

こういった事態を避けるため、カウンセリングの段階でシミュレーションソフトなどを用いて、できる限り詳細に、術後に起こりえる形状の変化についてはお伝えするようにしています。(鼻翼自体の硬さや基部の内部の状態など様々な条件で結果が変わるため、予測が難しい部分もありますが。)

すこしマニアックな手術ですが、適応がある方に行うと本当に雰囲気がよくなり、とても喜んでいただけます。

一度ご相談にいらしてみませんか。

鼻翼基部プロテーゼ(貴族手術)について詳しく知りたい方はこちら
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