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Pickupコンテンツ - 田中宏典

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AGA(男性型脱毛症)の話~診断編

薄毛は命に関わる病気ではありませんが、QOL(生活の質)を下げてしまいます。その人の印象を大きく変化させ、また進行性であるために悩み、不安にもなります。

ですが、解明されてきた特有の病態があるため、医学的な対処が可能です。

実際に、病院を受診される方も増えてきています。受診のきっかけは、自分で悩んだ末にというのが多いです。なぜかというと、薄毛は自分で実感できる(できてしまう)からでしょう。ただ、正常でも一日数十本は脱毛します。

AGA(男性型脱毛症)の診断

では、どの程度の脱毛で男性型脱毛症と診断されるのでしょうか?

視診

まず、全体的に視診にて脱毛パターンを確認します。

前頭部
[前頭部診断基準]
前頭部診断基準

前頭部では、この図のように「角額の先端が頭頂線の前方2cmを超えて後退を示すもの。」という診断基準があります。

頭頂部

頭頂部では、診断基準はありませんが、ダーモスコピーや拡大鏡を用いて毛髪が細くなって密度が低下し軟毛化しているのを確認します。

問診

  • 家族歴
  • 脱毛の経過
  • などを伺います。

診断

それらを総合的に判断し、診断をつけます。

診断のポイントは、脱毛のパターンとその部位の軟毛化です。また、後頭部の毛髪は硬く残存し密度も維持されます。

[高島分類]
高島分類

脱毛のパターンには臨床症状に応じた分類があります。欧米ではHamilton/Norwood分類が使われていますが、日本では、それを日本人向けにした高島分類が一般的です。

違いは、欧米人は前頭部から薄くなる人が多いのに対し、日本人では頭頂部より薄くなる人が多い為、Hamilton/Norwood分類には存在しない、前額部では診断基準を満たさないのに頭頂部は薄くなっているⅡ-vertex型を追加していることです。

因みにvertexとは頭頂という意味です。

「えっ、血液検査や画像検査(レントゲンやCTなど)は要らないの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、AGAの診断では必要不可欠という訳ではありません。なぜなら、血液検査や画像検査で診断に有用な所見がなく、健常な人と変わらないからです。

男性ホルモンがAGAに強く関与していますが、血中男性ホルモン値は正常です。血液検査が有用な場面は、フィナステリド等の内服薬が使えるのかを知りたい時や、副作用の影響を調べる時です。特に副作用の影響についての判断のために定期的に血液検査をしたほうがいいでしょう。

また、AGAでの遺伝子検査とは、AGAを発症しやすい遺伝子を持つかどうかを検査するもので、その結果はAGA専門治療薬であるフィナステリドが効く体質かどうかの判断材料として使うことができます。

毛髪が薄くなってきた場合には自覚症状があるので自分で分かります。しかしながら症候性脱毛などの原因の異なる脱毛症のこともありますので、気になっている方は病院を受診して診断してもらうのがいいと思います。

初めの診断で躓いてしまうと、間違った対策で時間を無駄にしたり、治療が遅れてしまったりといいことがありません。

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